宝塚歌劇二〇〇一(平成十三)年上半期(一−七月)の公演スケジュールが先日、発表された。
新東京宝塚劇場が、元日から幕を開けるのも話題だが、なんといっても注目されるのは、春の東西「ベルばら」同時上演だろう。
東京宝塚劇場が三−五月、星組による「オスカルとアンドレ編」で、宝塚大劇場(兵庫県宝塚市)は四−五月、宙組の「フェルゼンとマリー・アントワネット編」。どちらも、「ベルサイユのばら」二〇〇一年バージョンとして上演される。
「ベルばら」といえば、主要な登場人物をだれが演じるかを想像する楽しみがある。歌舞伎ではないが、「ベルばら」と「風と共に去りぬ」は、宝塚の定番舞台として、ストーリーの面白さ以上に、どのスターがどの役をやるかに関心が集まる。だれだれはアンドレ向きだから、オスカルはどうするのか? フェルゼンは? アントワネットにふさわしい娘役はいるの? ファンにとっては一大事なのだ。
「風−」のバトラーやスカーレットも同じ。最近では、「エリザベート」も仲間入りをした。
ところで、宙組の「ベルばら」が一番、気になる。
現在、宝塚大劇場「望郷は海を越えて」でトップお披露目中の和央ようかがフェルゼンで、花總まりのアントワネット。りりしい貴公子と美しい王妃、二人とも絵に描いたように決まるだろう。
が、あまりにまとも過ぎる。ここ数年、ファンをどぎまぎさせる数々の改革を断行してきた宝塚歌劇団である。ちょっとした冒険や遊びを試みてもよいのではないか。
娘役の中の娘役、花總に一度、オスカルを演じさせたら、どうだろう。もちろん、アントワネットとの二役でだ。
フェルゼン主役のバージョンでは、オスカルとアントワネットをからませる必要はない。役替わりで数回でもいい。赤い軍服姿の花總オスカルこそ、まさに劇画から抜け出たような美しさになるはず。キラキラ星も、目の周りに飛ぶかもしれない。
今、公演中の「望郷−」の劇中で、花總はちゃんと、オスカルの予行演習もしている。ご覧になった方なら、うん、いいかもと納得していただけるだろう。
一路真輝から和央まで、五人の男役とコンビを組んで平成の宝塚歌劇を支えた花總へのはなむけの意味でも…。
000925産経新聞東京夕刊