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第71期生講座
--愛華みれ退団に思う--

宝塚歌劇花組のトップスター、愛華みれの退団公演が11日、終わった。東京・日比谷の東京宝塚劇場で行われていた『ミケランジェロ』と『VIVA!』だ。

何か、わたしは気が抜けてしまったような気持ちになっている。愛華は、昭和60年初舞台の第71期生。わたしにとっては、顔見知りが一番多くいた期である。『愛あれば命は永遠に』のフィナーレで、全員がトリコロールのダルマ衣装で大階段を降りてきた姿が目に浮かぶ。みなけっこうコロッとして、笑顔が可愛かった。気さくないい子揃いも特徴で、スターになっても変わらなかった。

鮎ゆうき(現女優)が最初に飛び出して娘役のトップになったが、みんなのんびりした感じで、愛華を始め、真琴つばさ、轟悠、稔幸と同期4人の男役がトップとなり、しかも4人が同時期に頂点を極めるとは思ってもいなかった。その4人のうち、真琴が7月に、稔が10月に、そして愛華が11月にと今年、相次いで3人が辞めてしまった。寂しいかぎりだが、轟は来年2月以降、専科に回ることになり、あと、花組に貴柳みどり、月組に夏河ゆら、光樹すばると4人いるので少し、ホッとしている。

ところで、愛華は退団後は女優になることが決まっている。こんどは芸能界で活躍することになる。おじさん根性丸だしでいえば、普通っぽくて優しくて、だれにも愛される性格の愛華には、それゆえに外の世界で大丈夫かしらと心配になる。白エンビがことのほか似合って、一直線な正統派の二枚目男役で本領を発揮した愛華。『たけくらべ』の信如や『HURRICANE』のオウディ、トップになってからの『源氏物語』の光源氏、『ルートヴィヒII世』のタイトル・ロールなど、夢を見ているように美しかった。「純白の貴公子」とわたしは名付けた。これからは色合いに変化を付けた「演じる女優」にならねばならない。

女優・愛華には、果たして何色の形容詞を付けようかと、わたしは密かに楽しみにしている。「舞台上では女に戻って欲しくない」が、男役ファンの本音なのは承知しているが、退団後はスパッと「女性復帰」を応援してあげるのが、真のファンだろう。白エンビ姿での最後の大階段降りが、男役・愛華のサヨナラ・メッセージのはずだから。

011113




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