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記録講座
--同期生をめぐる考察--

 創立八十五周年を迎えている宝塚歌劇に〈新記録〉が三つ、生まれている。

 ひとつは、同期生四人が同時期にトップスターとして活躍していること。

 現在、東京・有楽町のTAKARAZUKA1000days劇場で新トップ披露公演『夜明けの序曲』に出演中の花組の愛華みれは、昭和六十年に初舞台を踏んだ七十一期生。

 その『夜明け−』の後、五月十五日から『WEST SIDE STORY』で東京にお目見えする星組の新トップ、稔幸も七十一期生だ。

 以下、七−八月の雪組トップの轟悠、八−九月の月組トップの真琴つばさ、と順に東上してくる二人も同期。真琴と轟は平成九年にひと足先にトップになっていたが、愛華、稔が続いて今年、待望の四トップのそろい踏みとなった。

 これまでにも、同期生から四人のトップスターを輩出した例はあるが、同じ時期に四組の男役トップとして活躍しているというのは、初めてのこと。

 たとえば、戦後以降の同期四人トップ輩出状況を調べてみると、昭和二十年初舞台組に新珠三千代(娘)−筑紫まり(娘)・明石照子−恵さかえ(娘)、二十八年組に浜木綿子(娘)−藤里美保−那智わたる−麻鳥千穂、三十九年組の竹生沙由里(娘)−大原ますみ(娘)−鳳蘭−汀夏子、五十六年組で黒木瞳(娘)−毬藻えり(娘)−涼風真世−真矢みき、五十八年組に神奈美帆(娘)−麻路さき−久世星佳−高嶺ふぶき、といった具合。

 しかし、いずれもトップの時期がズレていたうえ、娘役トップスターを含めての数である。

 この男役四人というのが、ふたつめの記録。同時期活躍は幸運に恵まれたことが大きいが、男役世界の宝塚で、その頂点を極めたスターを四人も送り出した七十一期生は素晴らしい。

 さらに三つ目が、七十一期の栄光の記録である。じつは、もうひとり、この期はトップスターを出していた。平成三年に退団した元雪組の娘役、鮎ゆうき。七十一期生から誕生した最初のスター。正統派の美人で今、女優としてテレビや舞台で活躍中だ。

 厳密にいえば、戦前の四年組(神代錦、園井恵子、大空ひろみ、藤花ひさみ、櫻緋紗子)にも五人いるが、トップ制度が確定してからの同期五人トップ輩出は、初めてである。

990426産経新聞東京夕刊




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