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キャトル・レーヴ講座
--改革をめぐる考察--

 阪急電鉄株式会社代表取締役副会長の菅井基裕さん(七〇)にインタビューする機会を得た。宝塚歌劇にいま、いろいろ変化点が見えてきて、かねてから宝塚歌劇団の経営母体である阪急電鉄トップの考えを伺いたいと思っていた。

 菅井さんは六月まで社長を務めていたが、七月から現職。ざっくばらんで歯にきぬ着せぬ物言いで知られる硬骨漢の方で、夢の世界を売り物にする歌劇なのに近年はあまりに商業主義が目立ち過ぎているのではというぶしつけな質問にも、「阪急グループ内での宝塚歌劇の位置を透明化しただけですよ」と軽くかわされ、つづいて経営論にうらうちされた歌劇への運営姿勢を伺うことができた。

 宝塚歌劇はこれまで、組織図的に阪急電鉄の外にある点線扱いのセクションだった。

 「それを運輸部門やデパートなどと同じようにきちんと運営形態のひとつとして考えたんです」

 菅井さん、歌劇の機構改革に着手する前に、劇団のベテランから若手スタッフたちと何度か話し合い、意見を聞き、現状をリサーチした。

 「わたしは、歌劇を阪急グループのメセナ事業(企業による文化支援)とは考えていません。応援はするが、湯水のごとく金を投じてやるのではない、べつなやり方があるだろうということです」

 先日、元雪組の娘役トップで現女優の鮎ゆうきが「昔の宝塚は阪急というイイだんなさんがいて、わたしたち金食い虫の娘たちのワガママをええよ、ええよといってくれていたけど、そんな時代じゃなくなったってことではないでしょうか」と話していたことを持ちだしたら、「その通りですね」と菅井さんはうなずいた。

 阪急グループの一企業として、宝塚歌劇の自立を促したということだろう。

 が、「歌劇をオペレートする側には口は出しません。あくまで会社でいう経営する側からの見直しを図りたいのです」と明言した。

 そこから資金調達の開発法として、宝塚グッズなどを販売する直営店キャトル・レーヴの設立や従来、一種類しか販売していなかったスターカレンダーの多様化などが実施された。

 じつは、菅井さん、歌劇には懐かしい思い出があって、思い入れゆえのえーっと驚く改革案が口をついた。次週でご披露したい。

990712産経新聞東京夕刊




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