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専科 香寿たつき   7月に初の外部出演    
0410産経新聞大阪夕刊


香寿たつき  宝塚歌劇団で、タカラヅカ以外の舞台にも積極的に出演できる道をつけるため、昨年六月、ベテランの演技派集団だった専科に主役クラスの人気スター十人が編入されたが、この組単位の拘束から離れて自由に動ける利点を生かして専科の新メンバー、香寿たつきが七月、神戸、東京の劇場で初めて外部出演を果たす。

 小劇場演劇の鬼才、野田秀樹のストレートプレー「贋作・罪と罰」を原作にしたミュージカル「天翔ける風に」で、構成・演出・振付を担当する謝珠栄が香寿に出演を依頼した。制作会社「ティーエスミュージカルファンデーション」の代表者である謝は宝塚のOGで振付・演出家として活躍中。最近では月組「黒い瞳」、宙組「激情」(一昨年の芸術祭優秀賞受賞)、昨年の雪組「凱旋門」の演出・振付を担当している。「凱旋門」では、雪組の二番手スターから専科入りした香寿が主人公の友人でロシア人の亡命者・ボリス役で出演、歌やダンスに強いほか、落ち着いた雰囲気の演技派であることを印象づけた。  今回、香寿の起用について謝は「男優がまじる舞台でも、男役独特のしなやかで美しい存在感を発揮してもらえる」と説明。

 香寿は「お話をうかがい、野田秀樹さんの原作も読んだあと、タカラヅカしか知らないし、男役の演技しかできないので、これは…と腰が引けそうになりましたが、タカラヅカ仕込みの演技で十分だと説明されて、初めての外部出演を決意しました」と話している。

 作品はドストエフスキーの「罪と罰」を下敷きにしたもので、江戸開成所の世直しの理想に燃える女塾生、三条英が香寿の役。貸金業の強欲な老女を殺害した際、そばにいた老女の妹も殺してしまい、万人の幸福のために人を殺すことが許されのかと、罪の意識に悩まされる。彼女の殺人をめぐり捜査の手が及んでくるのを、親友の才谷梅太郎(畠中洋)がハラハラしながら見守るが、彼も大きな理想を持っており、坂本龍馬にも変身するなど、野田戯曲独特の目まぐるしいストーリー展開が魅力の舞台だ。

 立川三貴、福井貴一、石原慎一、平沢智、伊東恵里らが共演。公演は七月十一日〜十三日=新神戸オリエンタル劇場、十七日〜二十四日=東京・新宿シアターアプル。

東京公演の記者会見。中央の赤い服が香寿たつき。右から3人目が謝珠栄=11日、東京・田崎ホール
 香寿は三月〜五月の星組東京公演「ベルサイユのばら」(宝塚八〜十月)で稔幸のオスカルに恋心を寄せるアンドレを演じた後、十一月〜十二月の東京星組公演「花の業平」「サザンクロス・レビューII」でトップに昇格する。


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