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専科   香寿たつき    
Mostly Classic Aug,2000/モーストリー・クラシック2000年8月号 田窪桜子


香寿たつきこうじゅ・たつき 札幌市出身。昭和61年3月「レビュー交響楽」で初舞台。星組の次期トップに。愛称・タータン、たぁ(撮影・門井聡)
 父(ビブラホーン奏者の槇邦雄さん)が札幌のNHK放送楽団で演奏していたので、音楽はいつも身近にありました。家ではピアノやマリンバ、歌を教えています。いつも聞いて覚えてしまっていたのでしょうね。母の話では、幼稚園のころ生徒さんの演奏を聞いて、「あっ、間違えた」なんて、生意気を言ってたらしいです。

 私自身は、歌やピアノを習ったことがないんです。宝塚の受験のために初めて声楽を習っただけ。だから、譜面を読むのは人一倍時間がかかります。ピアノも宝塚音楽学校に入ってバイエルから始めました。ただ、聞いた曲を指使いはめちゃくちゃでもピアノで弾けたり、合唱で音程をつられることもなかったので、知らないうちに音感は鍛えられていたかもしれませんね。

 子供のころの私は、音楽よりクラシックバレエに夢中だったんです。食事をするより何よりバレエ。家でもバレエ音楽を聞いて、バレエのビデオを見て、バレエ漫画を読んで…。ソウル系の音楽がはやっていたので姉はソウル音楽を聞いているのですが、その横で、私がクラシックのバレエ音楽をかけちゃうう。「こんなのは音楽じゃない」と姉の音をバチンって切ったりね。きょうだい喧嘩もこんな具合。札幌出身なので、バレエでは旭川出身の熊川哲也さんも、地元のバレエフェスティバルで知っています。あの子が、あんな風に大きくなって、こんなに有名になっちゃうんだなあなんて思います。本当にバレエ狂いでしたね。

香寿たつき

 父とはイタリアに旅行に行った時、カンツォーネ音楽のレストランで父の演奏で歌ったのが楽しかったですね。2人で朝の5時頃まで芸談を話したりもします。サラリーマンのお父さんだと壁があったかもしれませんが、音楽の仕事をしているだけに仕事の相談もできます。そういう意味で、すごく理解のある父ですね。

 今、好きでよく聞いているのは、チェリストのヨーヨーマさん。生の演奏は聞いたことがないので、ぜひコンサートに行ってみたいと思っています。お目にかかりたいのは、指揮者の佐渡さん。指揮者を目指す人を育成しているドキュメンタリーを見たときに、すごく感動したんです。

 ほかにも本当にいろんな曲を聞いています。凝っているのはボサノバかな、小野リサさんとか。朝に聞くのはだいたいクラシックかボサノバですね。

 私の生活の中に、音楽がないなんて考えられないですね。どうしても劇場と家の往復の生活になるので、家の中では、なるべく余裕をもった時間を過ごすようにしています。ゆっくりコーヒー飲んだり、アロマテラピーのオイルをたらして音楽を聞いたり。キザな生活と思われちゃうかもしれないけれど、時間に終われて、もう寝なきゃと、あわただしく過ごすのとは全然違いますよ。音楽の中で自分の時間を楽しもうとすることで、気持ちがリフレッシュされて、心が豊かになれるのです。


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