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会見では涙も見せた匠ひびき=23日午後8時 東京・日比谷の東京宝塚劇場 (山田喜貴・撮影) |
宝塚歌劇団の花組トップスター、匠ひびきが23日、東京・日比谷の東京宝塚劇場で最後の公演を終え、15年間の宝塚生活に別れを告げた。
公演後に行われた、サヨナラショー(退団するトップのための特別のショー)では、病気療養と回復への万全な措置から17日の復帰後も、とうとう東京公演では出演できなかった芝居「琥珀色の雨にぬれて」のワンシーンを再現する心憎さ。
そのほか「白い朝」や「チャンピオン」など懐かしい出演作の主題歌などを元気に披露した。
そして、退団者あいさつ。
やはり、東京公演ではとうとう降りることができなかった大階段から登場。花組の仲間が手を取って迎える中、1歩1歩、ゆっくりと、着実に階段を降りてきた。
白いバラの花束を贈られ、春野寿美礼としっかり抱き合ってから、涙をこらえながら次のようにあいさつした。
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サヨナラショーで元気に歌を聴かせた匠ひびき(宝塚歌劇団提供) |
「匠ひびき。愛称チャーリー。自転車(チャリンコ)に乗っていたから、愛称の由来はそれだけでしたが、ともかく15年間ずっとチャーリーという愛称で、いつのまにか、すっかり慣れていました。この宝塚で出会った方々すべてが『チャーリー頑張れ、チャーリー、負けるな』と。たくさんの人が私の背中を押してくれました。きょう、この日を無事に迎えることができたのも、私を支えてくれた花組の仲間とスタッフの方々と、そしてなによりも、お客様の温かい心があったからこそ。本当に心から感謝しております。これからの人生、私らしく生きていきたいと思います。本当にありがとうございました」
ひと呼吸おいて続けた。
「宝塚大劇場のときは、お客さまにも花組のみんなにもゴメンネという気持でいっぱいでした。でも、いまはありがとうという気持でいっぱいです。本当にありがとうございました」
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ファンの声援にこたえながら劇場を去っていく匠ひびき=23日午後9時20分、東京・日比谷の東京宝塚劇場前(山田喜貴・撮影) |
鳴りやまぬ拍手。それにこたえて再び舞台に現れた匠は、かみしめるように話した。
「本当に長い間、私を育ててくださり、ありがとうございました。一生忘れません。ありがとうございました」
大きな目に涙をいっぱい溜めて頭を下げた。チャーリーの舞台が終わった。
匠は昭和62年、「宝塚をどり讃歌」で初舞台。ダンスが得意な二枚目スターとして活躍し、昨年12月、花組トップスターに就任。この公演がトップのお披露目だが、同時に最後でもある退団公演という異例のスピード退団になる。さらに、東京での公演は当初、病気のため休演。17日から部分的に復帰し、ようやくファンを安心させた。
記者会見後、劇場前に詰めかけた約10000人のファンの前でパレード。劇場を後にした。
退団後は女優として芸能活動を行う。
花組は、春野寿美礼が次のトップスターになる。
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サヨナラショー曲目
「琥珀色の雨にぬれて」(
14年「琥珀色の雨にぬれて」)
「恋してしまった」(
同)
「AGAIN」(
13年「VIVA!」)
「白い朝」(
9年「白い朝」)
「つぐみの歌」(
12年「トム・ジョーンズの華麗なる冒険」)
「人間って奴は不可解な生き物」(
13年「カナリア」)
「アジアンパワー」(
12年「Asian Sunrise」)
「タンゲーラ」(
7年「チャンピオン!」)
「チャンピオン!」(
同)
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ほかの退団者
貴月 あゆむ
楓 沙樹
達 つかさ
鮎川 なつき
桜花 れいや