 |
『ガラスの風景』の新人公演でミラー警部役を演じる柚希さん。しぶい演技で舞台を引き締めた |
 |
新人公演を終え、つかの間の休日を過ごす柚希さん。バウ・ワークショップに向け正月も休むことなくけいこに励むという=兵庫県宝塚市 |
 |
宝塚を象徴する大階段。 多くの観客が、この階段を駆け降りるスターの姿に魅了された
|
華やかなショーのフィナーレ、華麗な衣装をまとったスターたちが駆け降りる大階段。その登場は昭和2年の『モン・パリ』にさかのぼる。
16段でスタートした大階段も改良を重ね、現在はボタン操作で開閉できる24段に落ち着いた。
大劇場を象徴する大階段は「宝塚ミュージカル」という新しいスタイルを生み出していく。多くのファンを魅了する舞台は、東西で年間200万人もの観客を動員する。
★ ★ ★
柚希礼音(ゆずき・れおん)さん、星組研究科4年。現在公演中の『ガラスの風景』と『バビロン』に出演している。
9歳のときからバレエを始めた柚希さん。父親の「一度受験してみたら」という一言がきっかけで宝塚を志望した。
バレエのコンクールで舞台には慣れていたという柚希さん。それでも宝塚を目指す受験生のパワーには圧倒され、ついていけるのかと感じた。
平成9年、音楽学校入学、11年には『ノバ・ボサ・ノバ』で初舞台を踏む。初日の口上では「あこがれの大劇場、緊張で声が震えた」という。劇場を埋め尽くす観客を前に、「宝塚の力を実感した」と当時を振り返る。
演技の幅を広げたいと、休みの日も多くの芝居を見て勉強を続ける柚希さん。その努力が認められ、来年1月のバウ・ワークショップ『おーい春風さん』の主役に抜擢された。
「歌、踊り、芝居とすべてにおいて“心”のある舞台人になりたい」と目標は高い。「このままでいいのか」と自問自答を繰り返し、けいこに励む。1歩ずつ演技というステップを登る彼女が、いつの日か大階段のセンターで踊る姿が浮かんで見えた。