コレ聴き隊
唱歌、童謡を改めて聴くための好盤
宝塚歌劇団の娘役4人(華城季帆・晴華みどり・音花ゆり・和音美桜)が唱歌、童謡から「さとうきび畑」「見上げてごらん夜の星を」など、いまやスタンダード化した日本のポップスまで、四季にちなんだ36曲をうたう企画盤。

CS放送の宝塚専門チャンネル「タカラヅカ・スカイ・ステージ」内で流していたものを、ファンの要望にこたえてCD化した。

ピアノの伴奏だけというシンプルな編成でうたう。凝ったアレンジを施しているわけでもなく、旋律と歌詞の、すなわち歌そのものの魅力がストレートに伝わる。

4人の素直なうたい方も、その魅力を伝えるうえでの重要な要因になっている。4人それぞれうたい方に個性があるが、昨今のJポップ歌手のように歌い回しにクセがあるわけでは、もちろん、ない。といって必要以上にうたいあげるわけでもない。このあたりの力の配分がとてもよい。

そんなわけで宝塚ファンのみならず、小さなお子さんをおもちの読者にもオススメしたい。日本の四季をうたうというテーマから、はからずもうたいつがれていくべき歌が多数選ばれている。こうした歌をきちんとした形で、聴き、覚えることは子供たちにとってとても大切なことだ。

このての企画盤は、えてして“子供向け”を意識しすぎる例も少なくないが、幸い、タカラジェンヌたちの個性は、そうした場所からは遠いところにあるので、“子供だまし”の内容になっていないのだ。

若い4人ゆえ「さとうきび畑」のような新しい歌のほうが解釈しやすかったのではないか、と感じさせる部分もないではないが、それがまた新鮮さに転じるわけでもある。

もちろん子供たちだけではなく、大人だって、久しぶりに唱歌や童謡を聴いてみようという人にはうってつけの1枚といえる。 (石井健)

今回聴いたCD
Quatre Saisons〜日本の四季を歌う〜
Quatre Saisons〜日本の四季を歌う〜
華城季帆・晴華みどり・音花ゆり・和音美桜
TCA
TCAC-273
2,000円(税込み)
これまでに聴いたCD

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