ハリウッド史上最高額の約3億ドル投じ“人生の旅”描く
「スパイダーマン3」砂男、NYで大暴れ
東京朝刊 by 岡田敏一
ハリウッド史上最高額の約3億ドル(約360億円)の製作費を投入した「スパイダーマン3」(サム・ライミ監督)が5月1日に世界最速公開となる。自分の体を砂状に変化させる悪役サンドマンがニューヨークで大暴れするVFX(視覚効果)が話題だが、おなじみの登場人物たちの友情や恋愛物語も見どころ。
来日会見でライミ監督は「登場人物全員が人間的に成長していく物語。人生の旅を描いた」と話した。
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来日記者会見に臨む出演者たち(左からサム・ライミ監督、主演のトビー・マグワイア、ヒロイン役のキルスティン・ダンスト)(撮影・千村安雄) |
謎の黒い液状生命体に取り付かれたピーターことスパイダーマン(トビー・マグワイア)は、伯父を殺害した犯人サンドマン(トーマス・ヘイデン・チャーチ)に復讐を誓う。一方、ピーターの友人ハリー(ジェームズ・フランコ)はニュー・ゴブリンと化し、父を殺害したスパイダーマンへの復讐に燃える。ピーターのせいで職場の新聞社を追われた駆け出しのカメラマン、エディ(トファー・グレイス)も怪物ヴェノムに変身してしまう。
ライミ監督は、サンドマンの驚異的な映像について「砂が風で飛ぶ際の動きや地上に落ちる際の角度、光の反射の具合など、あらゆる砂の動きを徹底的に調査してから撮影に臨んだ」と解説した。相当の苦労があったというが、「観客が共感できるようにキャラクターに魂を吹き込むことが重要」と考えたという。
主演のマグワイアは「作品とともに年齢を重ねて、俳優としても成長を遂げることができた。ライミ監督と仕事を共にできる楽しさを満喫した」などと語った。
ハラハラドキドキの約2時間20分。テーマパークのアトラクションを楽しむような感覚が味わえる娯楽大作だ。ただ、定番のヒーロー物語にとどまらず、米社会の雰囲気も巧みに盛り込まれている。
作品の大きなテーマは「復讐の虚しさ」。全登場人物が憎しみや復讐からは何も生まれないことを悟り、相手を許すことの大切さに気づく。そんなストーリーには、泥沼化するイラク戦争に対する微妙な心情がうかがえる。スパイダーマンが星条旗をバックにポーズを決める場面もあって、やはり彼は米国の象徴なのだと痛感した。
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