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大物仕掛けた痛快犯罪劇
「オーシャンズ13」プロデューサー、J・ワイントローブに聞く
    東京朝刊 by 岡田敏一
夏のハリウッド大作の目玉のひとつ「オーシャンズ13」(スティーブン・ソダーバーグ監督、今日公開)は、当代きってのスターが勢ぞろいする痛快犯罪アクションのシリーズ第3弾だ。今作は、米ショービジネス界の重鎮で知られる大物プロデューサー、ジェリー・ワイントローブ(69)の思い入れがたっぷりこもった作風。伊達(だて)男が闊歩(かっぽ)する古き良きハリウッド映画の雰囲気も漂う。


大ヒットシリーズになった理由のひとつは、ジョージ・クルーニーやブラッド・ピット、マット・デイモン、アンディ・ガルシアといった豪華な出演者たちの共演だろう。これほどの大人数のスターが多忙なスケジュールを縫ってひとつの映画に出演することは極めて珍しいが、それを実現させたのがワイントローブの豪腕である。

米ショービジネス界で半世紀余りにわたり活躍し続ける彼は、音楽プロデューサーとしてエルビス・プレスリーやフランク・シナトラらと長年仕事をし、ロバート・アルトマン監督の「ナッシュビル」(75年)で映画プロデューサーの道に入った大物中の大物。そんな彼だけに取材時の言動も豪快だった。「俺、フルーツ食べるけど一緒にどう?」

出演者のほとんどは前作(2004年)の製作時よりさらに多忙なのに「みんな古くからの友人だし、一緒に何かしたいと思っているからね。連絡したら全員すぐさま芸能エージェントに電話してスケジュールを調整してくれたよ」と余裕の笑み。「出演者のギャラ?。そりゃ難しい質問だなあ。答えは…言えない。でもすごいぞ。聞いたらビックリすると思うよ」

そんな本作。世界のホテル王、バンク(アル・パチーノ)と組んでラスベガスで高級ホテルを建設しようとしたオーシャン(クルーニー)一家の長老メンバー、ルーベン(エリオット・グールド)がバンクに騙(だま)されて一文無しに。オーシャンらは彼のホテルのカジノから大金を奪って大恥をかかせようとするが、人工知能を駆使した世界最先端のセキュリティー技術がホテルを守っていた…。

「テーマは復讐(ふくしゅう)だけど、これまでと同様に、連携や友情、師弟愛といった要素もある。私の人生観の反映だ」

ベテラン俳優、パチーノの存在感はさすがだがワイントローブは言う。「撮影初日『他の俳優は俺をどう思ってるかな?』って聞くんだ。それでこう言ってやった。『ゴッドファーザーの撮影の時、マーロン・ブランドも確か同じ事言ってたぞ』って(笑)」。

本作のキーワードはシナトラだ。「シナトラと握手したヤツだから信じたのに…」と怒るルーベン。終盤には「ラスベガス。騙し騙される街…」という彼の軽快な楽曲「ディス・タウン」(67年)が流れる。ちなみにオリジナル、「オーシャンと11人の仲間」(60年)のオーシャン役はシナトラだった。

「彼に敬意を表しているのさ。俺は25年間も彼と一緒に働いたんだ。あのころと比べると業界は様変わりした。今は株主だのコンプライアンス(法令遵守)だのと言うけれど、俺のやり方は変わっちゃいない。株主なんか気にするか。つまらないことは気にしないで、楽しんで映画を作り続けるだけだよ」

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