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ベルリン国際映画祭に正式出品
映画「選挙」現実の選挙戦を撮影 観客に“疑似体験”
    大阪夕刊 by 広瀬一雄
移動する車の中で「とにかく名前を連呼するんだって…」と妻に話す候補者、山内和彦さん。街頭で声を限りに演説する山内さんの横を、視線すら向けず通り過ぎる有権者、「(歩いている)人の集中力は3秒。だから3秒に1回名前を連呼」と話す選対関係者…。映画「選挙」が描く世界はいたって普通の日本の選挙戦だ。だが映画になって見直すと、妙におかしく、考えてしまう。

選挙戦の真実に迫るドキュメンタリー映画「選挙」=((C)Laboratory X,Inc)
選挙戦の真実に迫るドキュメンタリー映画「選挙」=((C)Laboratory X,Inc)

ニューヨークに14年在住し、「日本に帰るとすべてが新鮮」という想田和弘監督がカメラを回し、編集したから…だけではない。ナレーションやテロップ、音楽の一切ない「観察映画」だからこそ、より冷静に、客観視できるのかもしれない。

実際山内さん、というよりかつぐ地元市議ら自民党陣営の“どぶ板”選挙は激しいが、映像からは余韻ともいうべき間、ときには静寂感すら感じる。それは観客に「リアルタイムで、あたかも本当に選挙にほうり込まれたような疑似体験」をしてもらい、「自分の目で観察し、考える時間をつくってほしい」という想田のねらいなのだ。

先輩議員はおろか、支援者にまで怒られながら一生懸命走り回る山内さんのキャラクターも親近感を覚えさせる。想田も「自由奔放な山さんが自民党から出るのがおかしかった。『どうなっちゃうんだろう?』って。最初から自民党になじんだ人だったら、自民党の性質も浮き彫りにならなかったはず」と笑う。

自民党の性質とは? 想田は「近所づきあいの延長線上に組織票の基盤があって、保守政党の自民党を支える」と分析するが、「いい悪いの価値判断はお客さんがしてくれればいい」ともいう。「もやもやとした疑問が残って、その疑問を大切にしながら、それぞれが考え、話し合うことが大切」。参院選はもうすぐ。確かに、選挙について考えるにはいい機会かもしれない。

>>■映画「選挙」 想田和弘監督、山内和彦さんに聞く

 

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