座禅、寺コンサート…癒やしも
仏教、若者にじわり浸透
2007/10/11 産経新聞
東京朝刊 by 田辺裕晶
仏教が若い世代から見直され始めている。豊かな時代にあって日常生活から宗教色が薄れ、葬式や法事でしか僧侶を見なくなって久しいが、それだけに端正な仏像が新鮮に受け止められ、座禅が一種の“ファッション”となっているようだ。だが一方で、仏教に触れる中で、現代社会に疲れた心を癒やしている若者も増えているという。
生き抜くヒント
東京・新宿にある「経王寺」(互井観章住職)は平成17年10月から、本堂を使って、さまざまな音楽ジャンルの若手演奏家やダンサーらがパフォーマンスを行う「プンダリーカ(蓮(はす)の花)・ライブ」を開催している。
観客は中高年に交じって10〜20代の若者も多い。携帯電話のカメラで住職らとのツーショットを求める高校生の姿も。
互井住職は、若いころはロック音楽に親しみ、今は仏の徳をたたえる歌「声明(しょうみょう)」を歌う声明師として後進の指導にあたっている。
約10年前から継続的に境内で声明と雅楽のコンサートを開いているが、「この5年ほどで声明ファンだけでなく、若い世代をはじめ、一般の人たちが聞きに来るようになった」。そんな中で知り合った20〜40代のパフォーマーらから、「お寺の雰囲気を生かしたライブをしたい」と頼まれたのがライブのきっかけだ。
互井住職は毎回終演後、「僧としてその日のライブに何を感じたか」を観客に伝えている。法話もライブのような開放的空間の方が「話がすんなり(観客の)気持ちに入る」といい、「苦しい世の中を生き抜くためのヒントとして仏教を伝えたい」と話している。
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