万年筆が静かなブーム IT時代も女性のステータス
2007/10/29 産経新聞
東京朝刊 by 桑原聡
こうしたブームの中で、万年筆マニアが集結して編まれた万年筆写真文集「ペン!ペン!ペン! ファウンテンペン!」(南雲堂フェニックス・3150円)が登場し、売れ行きも上々という。
マニア58人が自分の愛する万年筆を語る「私が選んだ1本の万年筆」と題された第1章は圧巻。愛する万年筆とそれで書いた原稿の美しい写真が雄弁にその魅力を伝えている。
編者の足沢公彦さんはこう話す。「最近のブームは女性がつくっているところがあります。それは男性より女性の方が伝えたい気持ちを持っているからではないでしょうか。《気持ちを伝えるのなら万年筆》という意識が確かに醸成されつつあります。それに加えて、万年筆で書いた字には品格があると感じる女性が増えてきたように思います」
「国家の品格」「女性の品格」といった近年の「品格」ブームが、万年筆を発見させたといえるかもしれない。
万年筆を愛してやまない足沢さんはさらに風呂敷を広げる。「万年筆で手紙を書くときは、パソコンやボールペンに比べ、はるかに相手の気持ちをおもんばかって書いてしまうものです。さらには時候のあいさつが気になったり、インクの色が象徴する意味を意識したりと、日本のもてなしの文化をおのずと意識するようになりますね。極論ですが、日本を《美しい国》にしたいのなら、みながこぞって万年筆を使うべきでしょう」
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