−−どういうことですか?
バックダンサーなどの仕事を5年ほど続けた間、自分がどう歌いたいのかをずっと考えていたんです。私は長くダンスをやってきて、マイケルやプリンスのように、歌だけではなく視覚的にも魅力のある歌手になりたいと考えた。
−−なるほど。マイケルやプリンスのどんなところに、ひきつけられたんですか?
ちょっと違う世界に連れて行ってくれる。そういうところが大好きなんです。彼らはいわばテーマパークのような存在だと思うんです。
−−なるほど。
私は幼いころから童話を読むのが大好きでした。ひとりで部屋で童話を読むのが。引っ越しが多く、そのたびに友達と別れ、新しい友達と出会う不安の中、童話を読むことで夢をもつことができたんです。いま私の中から出てくる音楽はさまざまで、それらはひとつひとつがそういう童話、物語だったり、あるいはテーマパークにおけるアトラクションであればおもしろいのではないか−と思っています。
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−−なるほど、なるほど。実際、このデビューシングル「DOUBLE LIMITS」収録されている3曲は、それぞれ別の表情をもっています。では、各曲についてうかがいます。まず、メーンの「DOUBLE LIMITS」。
この曲だけは、ほかの方の曲に私が歌詞をつけました。私は歌を作るとき歌詞と旋律が同時に出てくるので、ほかの方の旋律に歌詞をつけるのは苦労するんですが、この曲は聴いたその場で“絵”が浮かんだので歌詞がすぐにできました。私の書く歌詞。これは当然、私の日常生活の中から生まれてくるのですが、そのままだと日記にすぎないので、ふだん使わないような言葉を用いて、“ヒロイン気分”を与えるんです。
−−なるほど。
この歌でいえば「冷たい仕打ちをもっと下さい」。終わりそうな恋をうたっているこの歌の中で、この部分は、“いい女”でなくてはいえないせりふだと思うんです。この歌詞が出てくることによって、聴いてくださる方が“いい女”気分に浸れるのではないかと。もちろん、どのように感じるかは聴く方それぞれでかまわないんですけど、「切ない女心が分かる」という方は“当たり”だし、恋愛経験の浅い方が“いい女気分”を楽しんでくださるのもよい。
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