吉野 どこまで出していいものかについては、探りながら、けいこしをていますね。こういう幻想的で、抽象的なものは好きです。切なくてしょうがないんですよ。なんていうのかな、忘れかけていたものを、そういう感覚を、揺さぶるんです。
星奈 大事なものって、たとえ忘れても、体が忘れていないというか、何かポイントを押されると出てきちゃうと思うんです。そういうシーンがポッと出てくる。
ーーそういう、いわば記憶の再生のような場面をつなぎ合わせいくことで物語が見えてくるということですか?
吉野 この人はこの役、というのがないんです。観終ってから、推理していただくというか、感じていただく部分を楽しんでいただきたいですね。
星奈 観る方によって感想は全然違うと思います。幸せになってよかったねと思う人もいるかもしれないし、すごく哀しくてたまらなくなる人もいるかもしれないし。そのへんは、お客さまにおまかせしたいですね。
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ーー歌やセリフとの兼ね合いは
吉野 コラボレーションはおもしろいですよ。幕開きから、「おっ」という感じでひきつけますよ。
星奈 singoさんの歌を聞くと、五感で感じる、ということを思い出す。目で見て、聞こえて、香りを思い出す。そんなふうに。振付もそういう感じのものになってます。
吉野 聴いていると“痛くって”しょうがないですよ。何だか。
星奈 岩田君は、うまいですすねえ。ダンスにも挑戦しています。柔軟で、彼の世界がどんどん変化しているんですよ。
ーー痛い、切ないって具体的にどういう感覚ですか?
吉野 何だろう? 初恋。切ないじゃないですか? すごくピュアな、痛いけど口には出せないような感じ。このドラマはもっと大人な感じで、後半に行くに従って人生の切なさが見えるというか、切なさ加減が深まっていくんですよ。
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