SUMiRE STYLE
全組index花組記事index月組記事一覧へ雪組記事一覧星組記事一覧宙組記事一覧専科記事一覧へ
専科 初風緑が退団
これからも正直に、まっすぐに。泣いて笑ってサヨナラ
11月14日(月)
宝塚歌劇団宙組東京公演が13日、千秋楽を迎え、同公演に特別出演していた専科の初風緑が退団。足かけ18年の男役生活に別れを告げた。

涙を流したけれど、最後の最後に笑顔を全開させたがいちさん=東京宝塚劇場前


この日は本公演終了後にサヨナラショーが行われた。約15分、7曲を熱唱した。

報道陣のカメラの前では、ビシッと笑顔に。はかまにはさんだ着至板には羽根が=東京宝塚劇場前 午後6時45分過ぎ、銀色のタキシード姿で大階段中央に立って登場した初風は、映画主題歌「シャレード」(「ジャズ・マニア」から)から歌い始めた。平成14年のコンサート「愛・舞・魅」で歌った「世界の終わる日まで」、昭和63年の初舞台作「キス・ミー・ケイト」の「Too Darn Hot」、平成11年の宝塚バウホール公演「から騒ぎ」の「見果てぬ夢」と歌い継いた。

「タカラヅカ・グローリー」の「飛翔の時」では、客席からの手拍子に合わせて銀橋を渡り、大階段には「GAICHI」の文字が浮かび上がった。

黒タキシードに着替えて舞台中央からせり上がってからバラードの「あなたへ(You are still you)」。舞台上にはスモークがたかれる中、「これからどうしよう。私はひとり…」と歌う初風に、客席ではペンライトが振られた。

締めくくりはコンサート「Carmine」(15年)でも歌ったバラード「I have always loved you」。「時が流れ、まもなく幕がおりる…」と歌いながら舞台下手から上手へとゆっくり移動し、客席の隅々まで見渡した。大きく両手を広げたところでトップスターの和央ようから宙組生徒全員が舞台に。

声援にこたえて手を振るがいちさん=東京宝塚劇場前


白いバラの花束を抱いた初風が、一輪一輪を客席に投げながら銀橋を渡る。銀橋を渡りきったところで、手元には一輪が残った。その最後の一輪はトップスターの、いや多分同期生としての和央の手へと渡された。劇場は大きな拍手に包まれた。

劇場前に立つがいちさん=東京宝塚劇場前


サヨナラショーが終わると、やはり同期で宙組組長の美郷真也が退団者の紹介。初風に触れると「同期の和央とともに(初風を送る)この舞台に立てて幸せです」と話した。

そしてタカラジェンヌの“正装”である緑のはかま姿で大階段から初風が下りてきた。所属する専科の一樹千尋から、同期の美郷と和央から、それぞれ花束を受け取ってあいさつ。

「今のこの気持ちを表現する言葉がみつかりません。ただ、不思議と心穏やかにこの瞬間を受け止めています。この18年間で得た喜び、精進はとても大切です。数カ月前は卒業することが寂しかった。今はこうして旅立ちの日に巡り合えたことをうれしく感じています。私がこうして卒業できるのは、これまで目に見える力、見えない力をたくさん感じられたからでしょう。これからも私らしく、正直に、まっすぐに歩みます。長い間、本当にありがとうございました」

拍手。締めくくりの言葉を言おうとマイクに近づいた美郷が、いったん退くほど長い拍手。

ふだんどおりに、やがて涙、そして最後は笑顔で劇場を去ったがいちさん。さようなら=東京宝塚劇場前最後に和央がトップとして公演を総括するあいさつ。千秋楽恒例だが、「心の中に、この公演を大切にしまいたい」という言葉には同期を送る心情もにじむ。

「すみれの花咲くころ」を全員で合唱して緞帳(どんちょう)が降りる。拍手にこたえて上がる。1回、2回…。初風が手で目元を押さえる。横に立つ和央にうながされて「本当にありがとうございました。一生忘れられない日になりました」と挨拶する声は震えていた。3回目。「えー、何を言ったらいいのだろう」と逡巡(しゅんじゅん)した和央が突然、歌い始める。拍手が続く。4回…。

午後9時前、初風は劇場前をパレード。ファンらによる“関東一本締め”が行われるなどする中を歩く。7日の火災予防安全もちつきまつりに参加した際は、「最後まで落ち着いて演じたいです」と語っていたが、無事公演を終えた安心感も手伝ってか、せきを切ったように涙を流し続けた。はかまの帯には、もうかけることがなくなった着到板(劇場に入っていることを知らせる名札)が。涙でほおを光らせながらも笑顔をはじかせ、両腕を大きく振り、劇場周辺のファンらの声援に何度も何度もこたえながら迎えの車に乗り込んだ。

初風は16、17日に第一ホテル東京でディナーショー「SOL Y SOMBRA」を控えている。9月に兵庫・宝塚で行ったものが好評だったため急きょ決まった。

この日は初風のほかに白河るり、綾花ちか、聖野花珠、愛紗ももが退団した。









記事に関連した情報です
公演詳細は公式サイトをごらんください

宝塚歌劇団特集
映画特集
百貨店&スイーツ
TV関連記事
音楽関連記事
演劇・舞台関連記事
話題・事件記事
LONG INTERVIEW
訃報
TOPページに戻る
産経新聞の宝塚記事
大阪本社が発行する毎週金曜日夕刊の「タカラジェンヌ 夢の奇跡」。毎月ひとりのタカラジェンヌを取り上げ、平松澄子記者がじっくりと話を聞きます。

大阪本社が発行する毎月第2火曜日(変更もあり)の「宝塚ファンタジア 夢の小部屋」。写真報道局の奥地史佳記者が撮影した大判の写真が新聞紙面ならではの魅力。撮影した写真にサインを入れてプレゼントも(紙面のみ)。

東京本社が発行する毎日の朝刊TVメディア面のBS・CS欄にCSチャンネル「TAKARAZUKA SKY STAGE」の番組表と解説
新聞のバックナンバー購入
よくある質問
著作権について