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宝塚歌劇 花組大劇場公演評
「正統派」春野を惜しむ2作
2007/10/17  産経新聞大阪夕刊 by 平松澄子
アデュー! 春野寿美礼−−。宝塚大劇場の花組公演は、12月24日で退団するトップスター、春野への惜別が随所に盛り込まれた2作品になった。

アデュー・マルセイユミュージカル「アデュー・マルセイユ−マルセイユへ愛を込めて−」(小池修一郎作・演出)は、1930年代のフランスの港町、マルセイユを舞台にしたピカレスク・ロマン。

暗い過去を背負い、秘密の使命を帯びたジェラール(春野)は、14年ぶりに故郷のマルセイユに帰ってきた。そして、婦人参政権運動のリーダー、マリアンヌ(桜乃彩音)と知り合い、夜の街を支配する幼なじみのシモン(真飛聖)とも再会する。そんな彼に、港の貿易を仕切る組織が近づき、意外な黒幕が浮かび上がって…。

小池は春野に、影のあるさわやかな男役をイメージして、この作品を創ったという。犯罪組織が暗躍するマルセイユ、街に張り巡らされた地下水道、ナイトクラブやカジノ、ワインの密輸、偽札騒動、女性の参政権運動、特産の自然派石けん、国際警察…。雑多なキーワードにジェラールとシモンの少年時代の回想も加わり、話が行ったり来たりしてややこしいが、最後にすべてがつながって収まるのは、演出家の手腕か。

冒頭とラストに大階段を効果的に使ったマルセイユ駅前の装置が印象的。男役の愛音羽麗がミュージックホールのスター役で存在感をみせている。なお、国際刑事機構の創立者の役で出演している立ともみ(専科)も、この公演で退団する。

レビュー「ラブ・シンフォニー」(中村一徳作・演出)は、さまざまな愛の形や心情を、シャンソンやラテンの音楽にのせてつづる。正統派男役の春野の魅力を生かしたオーソドックスな作り方で、自慢の歌唱力に加えてダンスのシーンも多く、春野はほとんど出ずっぱりで奮闘している。

相手役の桜乃の背中を押して送り出し、ひとり旅立つシーン。次期トップに内定した真飛と握手するシーン。そして♪想い出とともに 新しい旅立ちに愛を歌う…未来に届け…と歌うなど、思い入れたっぷりだ。

29日まで。




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