雪組 宝塚大劇場公演「君を愛してる」「ミロワール」
随所に笑い、装置が大胆、ユニーク
2008/1/24
産経新聞大阪夕刊 by 平松澄子
宝塚大劇場の新年第1弾は雪組公演の明るくハッピーな2本立て。

20世紀のパリを舞台にしたラブ・ロマンス「君を愛してる−Je’taim」(木村信司作・演出)は、伯爵家の長男ジョルジュ(
水夏希)とサーカスの空中ブランコのスター、マルキーズ(白羽ゆり)の恋を中心に展開する、ほのぼのとした物語。
教会で偶然に出会った2人が、感情の行き違い、立場や身分の壁をどう乗り越えて、心を通わせていくのか。ジョルジュの親友フィラント(音月桂)やアルセスト(凰稀かなめ)、マルキーズの元恋人アルガン(彩吹真央)ら周囲に個性的な人物たちを配して描いている。
サーカスの雰囲気をうまくシンボライズしたり、大胆な絵画を象徴的に使う装置がユニークで、カラフルな衣装も楽しい。随所に笑いもあり、出演者に合わせた役柄設定で、無難にまとめた作品になっている。
ただ、ストーリー展開は先が読めるし、説教じみたセリフや直接的な詞が多く、おしゃれ度に欠ける。歌唱力のある彩吹や未来優希(神父役)の歌うシーンは突出しているが、その間、ほかの出演者が立ちっぱなしになっているのも気になった。
「ミロワール−鏡のエンドレス・ドリームズ」(中村暁作・演出)は、鏡の中のもうひとつの世界をテーマにしたショー。鏡をはさんで別の人物が同じポーズを取り合う「ハートダンスの鏡」、見つめると相手が石になってしまう青年の苦悩を表現する「メドゥーサの鏡」のシーンがおもしろい。
また、水ら5人の男役ユニット「AQUA5」を中心に、ゴスペラーズが提供した歌を歌ったり、「君を愛してる」と連動したシーンを設けるなど、新しい試みもみられた。
2月4日まで。東京公演は2月16日−3月30日。
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