
「今年はよく働いて密度の濃い1年でした。(トップに就任して)変わったのは、みんなの『矢印』が全部、こっちへ向いていること。私が仕事だけに集中できるように、周りの方たちが支えて、助けてくださっている。ありがたいですね」と振り返った。
2月に名古屋・中日劇場公演「星影の人」の沖田総司役でトップ・デビューし、宝塚大劇場のトップお披露目公演は5月の1本立て大作「
エリザベート」のトート役。そして再び、9月は「星影の人」で全国ツアー公演と続いた。
「トートは人間的な感じにしたくなくて、ビジュアルもいろいろ工夫しました。大変でしたけれど、広い劇場空間で客席が真っ暗な中、トートの世界に浸れて楽しかったです。そのあとに、もう一度『星影の人』に取り組めたのは、新たな発見が多くて新鮮でしたね」
宝塚歌劇を代表するヒット作や大役を見事にクリアした自信と落ち着きから、一段と輝きを増してみえる。
さらに、水を中心に彩吹真央、音月桂、彩那音、凰稀かなめの男役スター5人によるグループ「
AQUA5(アクアファイブ)」を結成。
8月の世界陸上大阪大会の開会式で初披露したのを皮切りに、CM出演やCD発売など、これまでの宝塚歌劇の枠を超えた外部活動も注目を浴びた。
「あくまで舞台がメーンですが、宝塚を見る機会がなかったり、知らなかったりする方たちの“入門編”になればうれしいですね。私たちも違う世界を経験することで、改めて自分を見つめ直す機会が多くあり、服装やお化粧など自己プロデュースをすごく考えるようになった。組の活動に戻ったときに、私たちのそういう姿勢を組子たちが感じてくれれば、より密度の濃い雪組になれると思います」
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来年は元日初日の大劇場公演で、トップになって初めてのオリジナル新作に挑む。「お正月公演は、(歌劇団の)年賀式に出たあとに初日が開くので、身が引き締まりますね。私は何でもキリのいいのが好きなんです。元日からマックスでスタートしますよ」と張り切っている。

「君を愛してる」は、大富豪の跡取り息子(水)とサーカスの花形スター(白羽ゆり)のおしゃれなラブ・ロマンス。
「笑いあり、涙あり、最後はじんわり胸が温かくなる。衣装もカラフルだし、お正月にぴったり。私はこれまで寒色系の役が多く、自分の得意分野じゃない気がしたんです。でも、シリアスな前2作で固まりかけていたイメージを、打ち砕くことができるんじゃないかと自分でも楽しみです」
ショー「ミロワール」では、AQUA5のオリジナル曲をアレンジして歌い、踊るシーンもある。
「いずれは2つの活動がドッキングすればいいな、と思っていたんですが、こんなに早く実現するとは思わなかった。うれしいですね」
そのあとはまた、5〜6月の全国ツアー公演、8〜9月の大劇場公演と続き、来年もまた、よく働く年になりそうだ。
「まだまだ学ぶことはたくさんある。役者としてひとつの色に固まらずに挑戦して、未知の可能性を秘めていたい。ようやくスタートラインだと思っています」