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雪組 朝海ひかる
トップスターの健康管理 秘けつは?

チョンとツケが鳴りパッと明かりが入った瞬間、舞台は桜が咲き誇る元禄調の日本。その華やかな舞台の真中に立つのが男役トップスター、朝海ひかるだ。凛々(りり)しく初々しいトップぶりで光を放つ。

コムちゃん


高校2年のときコーラス部の先生に薦められるまま宝塚音楽学校を受験。しかし、舞台は見たことがなかった。

「1次試験が東京で、東京ディズニーランドに行きたかったし物珍しさもあって。合格して唖然(あぜん)。最初はとんでもないところに入ってしまったと思いました。でも、入学式で『競争率は16倍。あなたたちの後ろに16人、涙をのんだ人がいる』という先生の話を聞いたとき、へこたれちゃいけないなあ、と決心がつきました」と振りかえる。

コムちゃんトップスターの登竜門といわれる新人公演の主役は経験していない。ところが宙組に組替えしてから人気急上昇。「エリザベート」のルドルフ皇太子役で火がついた。

「自分が頑張れば、その頑張りを評価してくれるのが宝塚のお客さま。その温かさが私たちを成長させてくれる。ちゃんと見てくださっているのが励みでした」

アイドル系、フェアリー系トップスターといわれるが、役への取り組み、タカラジェンヌとしてのスタンスは意外に頑固で、こだわり屋だ。

「主役をさせていただく機会が増え、作品全体を考えるようになりました。納得いくまで、演出家の先生と話します。自分が努力するのは当たり前で、今日より明日と、絶対いい舞台にしたいという思いが強いです」という。

上演中の「春麗の淡き光に−朱天童子異聞」は久しぶりの日本物。貴族の専横を正そうと立ちあがる藤原保輔と弟の保昌の2役を演じている。男の友情と信念の物語だ。

コムちゃん「男同士の友情って、女性はあこがれますよね。演じ続けて保輔と保昌がより濃く、浮き彫りになってみえてきた。宝塚にはいろんなタイプの作品があり、いろんな角度から人間にスポットを当てている。特に今回の、“宝塚歌舞伎”といわれる日本物は、宝塚にしかないもの。きちんと伝えていかなくてはと思っています」

トップスターになってひとつだけ変わったことが、健康管理に特別気を使うこと。

「午前零時前に必ず寝ます。疲れが残って舞台に立つのはすごく悔しくて。体を使った分休めば、次の日、元気に楽しく舞台ができる。朝ご飯をちゃんといただいて。すごくシンプルなことです」

今までにない新しいタイプのスターとして期待はますます高まるが、まだ未知数。でも、それが魅力のひとつだ。

「朝海ひかるらしさっていうのが、自分でもつかみどころがなくて。いつも、演じている役に自分が発掘されるんですよ。もっと違う色があるはずと思っていますが先を考えすぎず、一歩一歩足元見て進んでいくのが自分らしいかなと思っています」


sumire memo
3月31日(月)東京朝刊
interview by 田窪桜子
photo by
渡辺大輔

あさみ・ひかる 仙台市出身。平成3年、「ベルサイユのばら」で初舞台。翌年、花組に配属。10年、発足にともない宙組へ。その後雪組に組替え。バウ公演初主演作「アンナ・カレーニナ」ではヴィロンスキー伯爵を好演。
昨年は「風と共に去りぬ」のスカーレット、「追憶のバルセロナ」のジプシー、ロベルトなど演技面でも新境地を開く。昨年10月、雪組トップに就任。
「春麗の淡き光に」「Joyfull!」は5月4日まで日比谷の東京宝塚劇場(TEL.03-5251-2001)で上演中。愛称コム。
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OG情報 演劇一般のほうに掲載
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