花咲け若きすみれたち
研究科1年 凪七瑠海
凪七瑠海(なぎな・るうみ)さん、研究科1年。現在公演中の『シニョール ドン・ファン』と『花の宝塚風土記(ふどき)』に初舞台生として出演する。
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未来のスターへ 夢に向かってジャンプ!初舞台を前に希望にあふれる凪七瑠海さん。未来のスターへの道を踏み出した=兵庫県宝塚市の花の道 |
凪七さんが初めて宝塚を知ったのはまだ幼い頃。母親と見た東京公演は「なぜか恥ずかしくて、まともに見られず、いい思い出が無かった」と話す。
そんな彼女が宝塚を志したのは中学生のとき。友だちと見た『ノバ・ボサ・ノバ』がきっかけ。久しぶりに見た舞台は、幼いころの記憶を吹き飛ばすほどの感動を与えてくれた。
すぐに音楽学校の受験を決意して、バレエ、ピアノそして声楽と試験のための勉強に集中した。
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念願の初舞台 『シニョール ドン・ファン』で念願の初舞台を踏んだ凪七さん。同期が揃って踊る、最初で最後の舞台だ |
母と見に来た合格発表では、発表の前から涙があふれ、まわりの注目を浴びた。涙にかすむ目で掲示板に自分の名前を見たとき「あった!」と叫んで母親に抱きついた。
身体を動かす科目が好きと話す凪七さん。中でも“自分の気持ちを身体で表現できる”モダンダンスは常にトップの成績だった。
そんな彼女が苦手としたのが日本舞踊。バレエと違う手足の運びに苦労したという。それでも休みの日もけいこに励み、苦手意識を克服した。卒業を前に3番の成績をつけるころには好きな科目の1つになっていた。
首席で卒業を迎え、卒業生代表として答辞を読み上げた。2年間の思い出が次々に浮かび、こらえていた涙があふれてきた。
しかし、感慨にふける間もなく厳しいけいこがはじまる。苦楽を共にした同期が同じ舞台を踏む、最初で最後の披露公演。
「技術はまだまだ、初舞台にかける情熱を見て欲しい」と熱い想いを話す。「心を大切に、品格を感じさせる舞台人になりたい」と将来の夢は大きい。澄んだ瞳で未来を見つめる若い彼女に、宝塚の新しい息吹を感じた。
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卒業そして入学−厳しい冬に別れを告げて、新しい出会いに希望を抱く。この春、宝塚音楽学校は49名の卒業生を送り出し、50名の新入生を受け入れた。
卒業を迎えた89期生は研究科1年として、未来のスターを目指して、新たな一歩を踏み出していく。
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