宝塚大劇場で5月10日まで公演している雪組のレビュー「タカラヅカ・グローリー!」で、初舞台生のロケット、話題の90人の大ラインダンス(関連記事:宝塚歌劇90周年記念式典)、黒燕尾の男役による大階段での群舞などの振付を担当。作・演出の岡田敬二さん(関連記事:世界に通用するビジネスに)は「大人数のダンスを束ねる振付は彼女しかできない」と全幅の信頼をおいている。
「初舞台生は若さとかわいさが売り物だけれど、上級生が中心のラインダンスとなると、いろんなフォーメーションが必要。ただ90人をそろえるために、振りは少し簡単にしています。とにかく舞台に乗せるまでに、お稽古場の段取りから大変でしたね。黒燕尾の群舞は今回、音楽が正調『清く正しく美しく』なので、あまり崩さず、上品にきれいにと心がけました」
併演の音楽劇「スサノオ」でも4場中3場の振付を担当しているから、まさに八面六臂(はちめんろっぴ)の活躍ぶりだ。
大阪出身で「バレエを踊りたい」と宝塚に入った。昭和36年、「サルタンバンク」が初舞台。娘役のダンサーとして活動して48年に退団した。「当時の理事長から振付をやってみないかと薦められて。人を教えるなんて思ってもいなかったんですが、劇団のレッスンから始めました」
振付家のデビューは50年の「恋こそ我がいのち−赤と黒」「イマージュ」。都会的センスのショー作品を多く手がけており、代表作に「ヒート・ウエーブ」(60年)や「ダンディズム」(平成7年)など。また、初演の「エリザベート」(8年)や宙組「ベルサイユのばら」(13年)のフィナーレなどがある。
「私は喜多弘先生、岡正躬先生、県洋二先生にいっぱい勉強させてもらいました。大人数を動かせて最後にピシッと決める場面の振付は気持ちいい。宝塚は、男役さんはかっこよく、娘役さんは美しく見せる振付が一番ですね」
9年には歌劇団の理事にも就任した。「驚きましたが、振付家の地位向上や後輩のためにもいいかなと思って。ただ今、宝塚はOGの女性振付家が多くなり、男性の振付家がいないのが課題です」
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