花組の彩吹真央主演のバウ・ミュージカル「NAKED CITY」(12−18日、東京・日本青年館)が、3作目の作・演出作品になる(関連記事:コミカルな中に男の切なさ描く)。1950年代のニューヨークを舞台にしたサスペンス・ロマン。ゴシップ・カメラマン役の彩吹、マフィア役の愛音羽麗らアウトローの男たちの生きざまを、レトロな雰囲気をただよわせて、かっこよく見せた。
デビュー作の「SLAPSTICK」(平成14年)、2作目の「アメリカン・パイ」(15年)に比べると、格段の進歩が感じられる。
「やればやるほど奥が深いな、と大変さを感じますね。今回はお客さまに見せることを、より意識するようになりました。これまではストーリーにひきずられることが多かったんですが、演劇って場割りがすごく重要だなって」
昭和51年生まれ。東京都出身。慶応大学文学部を卒業して、平成11年に歌劇団に入団した。
「高3の時たまたま見た宝塚の『PUCK』に衝撃を受けて、その演出家だった小池修一郎さんの出身校の慶応へ行き、歌劇団を受験する同じコースをたどったんです」
演出部希望の100人余りの受験生から、合格したのは3人だけで、女性は彼女1人。さらに企画編成委員会に提出した企画書が2回目で通り、同期生で一番早く演出家デビューした。歌劇団の女性演出家としては3人目になる。
「すごくラッキーだと思います。その後、私の下にも女性が1人、まだ助手ですが入ったんですよ」
宝塚歌劇の魅力は「単純に男役のかっこよさと、男役という存在がウソであることによって、作品の幅が広がっていく。宝塚自体がフィールドで、その中にお芝居、ショー、日本物、洋物、ロマンス、サスペンス…と、いろんなジャンルが包括されていて、大きな可能性がある」という。
次のステップは宝塚大劇場での演出家デビューになるが、「ストーリーがある作品を、あの舞台機構を使って演出してみたい」そうだ。
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