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花組   渚あき    
02.17産経新聞夕刊 田窪桜子


なぎさ
なぎさ・あき 昭和63年、「キス・ミー・ケイト」で初舞台。雪組に配属。平成5年、花組に組替え。「タンゴ・アルゼンチーノ」では大人の女性を、「あさきゆめみし」では朧月夜を演じ好評。幅広い役柄をこなす娘役。愛称・Akiko
 「ルートヴィヒII世」(3月25日まで、東京宝塚劇場で上演中)でルートヴィヒ(愛華みれ)のいとこ、エリザベートを演じています。

 好きな場も苦労した場も、7場のルートヴィヒと2人のシーンです。直接相手に投げかける言葉がないので、2人の関係を表現するのが難しく、悩みました。でも、2人の心の中がしっかりあれば、言葉ではなく伝えられるものがあるのだと勉強になりました。

 ルートヴィヒとエリザベートは、同じ境遇に育った似た者同士なんですね。エリザベートは、彼の苦しみや心の痛みをすべて分かっていて、諭(さと)し、心を和らげていきます。彼にとって恋人とも母や姉とも違う、永遠のあこがれ。ひとつの魂が2つに分かれたような存在だったように思います。

 特に今回は、よく知られているエリザベート像とは違って、叫んだり感情を表に出したりせず、心のひだをじわじわと伝えていくような役どころです。その日その日の2人のテンションによっても伝わり方は微妙に変わってきます。お互い、目の奥を見ながら「今日の心はどうなの? ルートヴィヒ」と毎日問いかけながら演じています。

 2人の心情やエリザベートの雰囲気が、劇場の空気に漂うように、お客さまの心に染み入るように表現できればいいなあと思います。


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