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東京宝塚劇場正面で約8,000人のファンに別れを告げる真琴つばさ
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宝塚歌劇団の月組トップスター、真琴(まこと)つばさが12日、東京・日比
谷の東京宝塚劇場でのファイナル公演を終え、ファンに別れを告げた。
真琴さんは昭和60年、初舞台。平成9年、月組トップスターとなり、エンターテ
イナーに徹したサービス精神あふれる舞台で人気を集めた。
7月2日、宝塚大劇場公演「愛のソナタ」の千秋楽で退団する。
本公演に続いて行われたサヨナラショーでは主演作品の主題歌を披露。最後の大階
段は恒例の黒紋付に緑の袴ではなく、黒燕尾に赤いバラの花束を抱えて登場した。
月組組長の立(りつ)ともみは真琴を次のように紹介した。
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東京宝塚劇場楽屋入り口から出て正面まで歩き、最後に腕に抱いたバラをファンに向かって投げた
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「まみ(真琴の愛称)は男役からかれんな女役までこなし、さわやかな青年から渋い男まで演じました。ファンの皆様のごひいきの眉間のしわにも磨きがかかりました。しかし、ずっと順風満帆だったわけではなく、陽のあたらない時代もありました。研四のとき、男役の群舞に入れてもらえず、大階段の陰から見ていたこともあったといいます。その経験がバネになった。だから努力を惜しみません。まみは『運が良かった』といいますが、決してそうではありません。努力には頭が下がりますし、だから組のみんなに慕われ愛されます。劇中でまみは『永遠に輝く星になりたい』と歌っていますが、まみこそがスターで、私たちの星なのです」
客席からひときわ大きな拍手がわき起こった。
最後に真琴があいさつした。
「小さなころから宝塚を夢みていました。今、前を見ればお客様が、周りにはスタッフの方々や仲間たちがいる。そんな宝塚に集まってくれる人が私は大好きです。退団の発表をしてから皆様の気持ちが生け花の剣山のように私の胸につきささります。その痛みが私にとっては幸せです。毎日幕が降りるたびに安堵感と、これでよかったのかという反省が私の頭によぎっていました。それが次の舞台の希望に変わります。ここでお礼の言葉をいうべきなのでしょうが、明日への希望を残しておくため、その言葉はもう少しとっておきます。応援してくださった皆様。もう少しだけ私と一緒に走ってください。そして宝塚を愛してください。夢から覚めるその日まで真琴つばさをよろしくお願いいたします」
終演後は、劇場前に集まった約8,000人のファンの前を、赤いバラを投げながらパレードし、大歓声をあびながら劇場を後にした。
月組は紫吹淳(しぶき・じゅん)が新しいトップスターになる。