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「ちょっと、PRのポーズをしてもかまわない?」と、写真集「Mature」を見せる真琴つばさ。超過密のスケジュールの合間を縫って撮影をこなしたそうだ |
昨年八月に退団を発表した宝塚歌劇団体・月組のトップスター、真琴つばさ(昭和六十年入団)の“さよならロングラン”が大詰めを迎えた。
本拠地・宝塚大劇場で十八日からラストステージが開幕する。
ミュージカル「愛のソナタ」とショー「ESP!」の二本立て。“二十一世紀最初のさよなら公演”に「いよいよ完全燃焼するときがやってきました」と一段と気持ちを高めている。
「いつものパターンのさよなら公演だと、大劇場が先で、それから東京に行くのですけど、今回は逆ですね。こんなこともあっていいのでは…と思っていますが、めったにないことなので、特別なことを盛り込んでいただきました」
“特別なこと”とは?
彼女のために企画された異例のショー「ESP!」だ。“Especial”の略で、文字通り「特別の」舞台だが、彼女は「単なるさよならショーにしたくないのです」という。
「ラテンあり、タンゴあり、それにちょっとしたトリックのマジックをまじえ、私らしいカラーも出したうえ、最後は燕尾の衣装で締めます。私だけが目立つのではなく、舞台のだれもが何かを生み出しいると思える感覚、つまり、ESPのもう一つの意味“超感覚的知覚”という雰囲気も出すつもりです」
「愛のソナタ」はリヒャルト・シュトラウスのオペラ「ばらの騎士」を下敷きにしたハッピーエンドのラブコメディー。新・東京宝塚劇場のおめでたいこけら落とし公演のために作られた作品だけに、彼女も「お正月公演だった東京の千秋楽をさよなら公演のスタートに切り替えて、気持ちが切れないようにムチをいれ直しました」と、大劇場のラストステージに向けてスパートさせている。
十カ月ものラストランの道中では、昨年秋の大劇場公演やドラマシティ公演で「間もなくお別れですよ」と“さよなら”をにおわし、四月に開いたディナーショーでは支持してくれたファンに感謝のメッセージ。その合間を縫って、初のシングルCD「EDEN〜黄昏はなにも言ってくれない」を発売し、写真集「Mature」も出版して円熟した雰囲気を漂わせるなど、超多忙の日々が続いている。
こんな過密スケジュールの中には、さまざまなお別れセレモニーも組み込まれている。
だが、「さよなら」のセリフを一度も口にしていない。気持ちが切れそうになるからだ。
しかし、七月二日の大劇場公演の千秋楽では、思いの分だけ「さよなら」をいって、十五年間の男役生活に終止符を打つ。
それから先のことは、ゆっくりと考えるそうだ。