宝塚歌劇団の月組トップ、真琴つばさが七月二日の大劇場公演千秋楽で退団した後、トップコンビの娘役、檀れい(平成四年入団)も同三日付で専科に異動することになった。
娘役では、「主演スター」という言い方をされた昭和三十〜四十年代に瑠璃豊美が専科に入って活躍したケースがあるが、最近では例のない処遇。
通常なら真琴の相手役だった檀がそのまま次期トップの紫吹淳とコンビを組むことになるわけだが、さらに芸を深めるのに意欲的な彼女のためにとられた異例の人事だ。
さらに、その檀の後に星組の若手、映美くらら(平成十一年入団)を抜てきしたのも注目される。
植田紳爾理事長はこう説明する。
「ダンスが得意な新トップ、紫吹の特性を一段と生かすために、シャープなダンスが際立つ入団三年目の新人と組ますことにした。昨年六月に主役クラスを投入する新専科制度を採用して以来初の大物娘役の専科入りだが、トップを張った檀にふさわしい処遇を考えている」
檀は真琴のさよなら公演「愛のソナタ」「ESP!」(七月二日まで宝塚大劇場)で、主役娘役を務めた後、専科に移って九、十月に東京・芸術座で公演する東宝現代劇「極楽町一丁目〜嫁姑地獄編」に初めて外部出演。先輩の浜木綿子(昭和二十八年〜三十六年在団)の姑とがっぷり渡り合う嫁を演じる。
ちなみに檀を相手役にする浜は宝塚での先輩で、歌える主役娘役で活躍。在団中の昭和三十四年に芸術座公演「がめつい奴」に出演するなど、外部の舞台で活動した後、三十六年に退団、東宝演劇部に所属して女優として再出発した。
いずれにしろ、壇はこういう。
「今は真琴さんのさよなら公演に全力を尽くすだけ。芸術座のお芝居の原作はマンガなんですけど、チラリと目を通しただけで“封印”しました。まず、目の前のことに集中して、余計なことを考えないようにしていますが、娘役としてやり残したことがありますので、それをやり遂げたと思えるまでがんばります」
典型的な美人娘役の檀。一昨年の中国公演ではタカラヅカを知らない現地の中国人からも「きれいなトップスター」と人気を独占するほど注目された。
真琴は「持っているものはすばらしい娘役の大器。ただ、まだ原石に近い未開発の状態なので、もう一度、基礎から見直し、着実にレッスンを積んで成長してほしい」とエールを送っている。
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