宙組東京公演始まる
運命 恋 悲劇 愛 圧倒的な「鳳凰伝」
宝塚歌劇団宙組の東京公演が28日午後3時半から、東京宝塚劇場(東京・日比谷)で始まった。演目は「グランド・ロマンス『鳳凰伝−カラフとトゥーランドット』」(脚本・演出、木村信司)「グランド・ショー『ザ・ショー・ストッパー』」(作・演出、三木章雄)。
「鳳凰伝」は、プッチーニのオペラ「トゥーランドット」をベースにした作品だが、音楽は全編独自のもの(甲斐正人作曲)を使用している。
宝塚では「トウランドット姫」として昭和9年4月に月組で初演。同年5月には花組が上演し、同27年には「トウランドット」として8月に月組、9月に星組が上演している。27年公演では月、星組ともに春日野八千代がカラフ王子を演じている。
かつて侵攻された経験から他国を憎悪。求婚してくる他国の王子たちに3つのなぞを投げかけ、これが解けないときは処刑をするという復讐劇にすべてを捧げる中国皇帝のひとり娘、トゥーランドット(花總まり)。滅亡した国の王子、カラフ(和央ようか)は、その美しさにひかれてなぞに挑み、やはりかつては王子で盗賊に身をやつしたバラク(水夏希)は友情からカラフを助ける。しかし、復讐という氷で閉ざされたトゥーランドットの心は、次々と悲劇を巻き起こす。
毅然とし、冷静沈着な和央カラフ。狂気漂う美しさの花總トゥーランドット。熱血漢の水バラク。さらにはカラフを慕い、すべてをなげうつタマル(彩乃かなみ)、カラフへの恋慕が激しい憎しみに変わるアデルマ(ふづき美世)ら登場人物たちは、みな生き生きとし、快調な演出はクライマックスへ息をもつかせず誘う。さらに、主題歌「されど夢」を筆頭に雄大で美しい旋律の歌は、観客を圧倒する。
「鳳凰伝」が大作である分、「ザ・ショー・ストッパー」はふだんのショーより10分短い。コンパクトな分、こちらも快調なテンポで進行。ブルース、タンゴ、ラテン、ロックと多彩な音楽でつづられる。大階段は使われるが、ふだんのフィナーレよりはあっさりとしている。ただし、和央以下、非常に力強い印象を観客に与える。花總の激しく、かつ官能的なダンスも印象に残る。
初日は午前中に通しげいこが行われ、けいこ終了後にトップスターの和央が記者会見。
「のびのびと元気に、宙組一丸となってがんばりたい」と意気込みを語った。
11月10日まで。
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