コレ聴き隊
絶妙のユーモアのスパイス
CDで買おうと思いながらもグズグズしていたらiTunesミュージック・ストアでのダウンロード販売が始まっていたので、そちらで購入してみた。

表題どおりといおうか、装丁どおりといおうか、円谷プロのウルトラシリーズ主題歌・挿入歌13曲をウクレレで演奏している。のんびり、まったりの癒(いや)し系であるともいえるが、随所にちりばめられたユーモアが適度のスパイスになっており、単に夏向けの毒にも薬にもならないBGMでは終わっていない。

演奏しているのが、いずれも実力派かつユニークな活動をしている演奏家たちであることに追うところが大きいかもしれない。

個人的なお気に入りは、ウクレレカフェカルテットによる「ウルトラマンの歌」と「ウルトラQメインタイトル〜メインテーマ」。ウルトラマンの声、カラータイマーなどの効果音なども使われており、ともかく原曲のイメージを忠実にウクレレを主体とした編成の演奏で再現してみせる。

出色は栗コーダーカルテットによる「ウルトラセブンの歌」で、重厚な導入部、軽快な主題部、テンポチェンジの橋渡し部と細部にわたって忠実に再現。忠実に再現するほどにそこはかとないユーモアが漂う。

はじめにきよしの「帰ってきたウルトラマン」とIWAOの独奏による「ウルトラマンタロウ」は、それぞれ独自のアレンジを施す。前者はスイングリズムで陽気。沖縄風味もまぜた。後者は哀愁が漂うスローテンポで、短調から長調に転調する原曲の持ち味を生かし、楽園的な楽器と思いこみやすいウクレレという楽器の音色のもう一方の美しさを堪能させてくれる。キヨシ小林&ウクレレ スィング ギャング「ウルトラマンエース」は急速調のスイングテンポで、石原裕次郎「嵐を呼ぶ男」ふうのドラムによるブレークがユニーク加減を増す。

13曲のうち僕は「快獣ブースカ」関連の2曲、「怪奇大作戦」の「恐怖の町」については元の楽曲を思い出せず、やっぱり、原曲を知っていたほうが楽しめるなあというのが実感だが、そうでない人もこれからの季節のユニークなBGMとして楽しめるのではないか。(石井健)

今回聴いたCD
ウクレレ・ウルトラマン
ウクレレ・ウルトラマン
ウクレレカフェカルテットほか
GENEON
NCL-1060
2,940円(税込み)


これまでに聴いたCD

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