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漫画家、倉田真由美さんに聞く
(4)子供が1番だから我慢できる
10月29日(日)  東京朝刊 by 竹中文
《28歳で結婚。長男を出産し30歳で離婚した。現在は福岡市の実家と東京の仕事場の間を毎週、往復している》

漫画家・倉田真由美さん=東京・大手町(撮影・瀧誠四郎)

−−育児はどのように。
倉田 私の場合、福岡の両親が子育てを手伝ってくれています。いろいろな子育ての方法を成立させる家族が、もっと増えてもいいと思う。

−−母親だけが育児をすべきだと思うと苦しみます。
倉田 一般的な価値観に縛られるとつらくなりますよね。社会に出ると、一般的に20代後半に「そろそろ結婚するべき」と言われ、そのあと「子供を産むべき」と言われる。そうしたいのだったら構わない。でも「そうあるべき」という価値観があるから自由な選択がしづらくなる。

−−結婚は、親からせかされた?
倉田 親から直接言われたわけではないけれど、ずっと長く一緒にいるから親が結婚と出産を望んでいるのを感じていましたね。少なくとも、親に埋め込まれた価値観は染みついていて、そこから自由になるのは本当に難しい。だから少なくとも社会で、さらに重圧を作るのはやめてほしいと思います。

少子化問題にしても、「子供を産むべき」みたいな空気が蔓延(まんえん)すると、苦しむ女性がもっと増えますよね。社会の圧力でねじ曲げられるのは悲劇だし苦しいと思います。

−−少子化のひとつの側面ですね。
倉田 もうちょっと社会的に自由に子供を産めるような状況を作ってほしい。それはすなわち、シングルマザーなどというものを社会的にも認めるとか。

−−女手ひとつで家計を支えています。
倉田 私は別れた夫からの経済支援を受けずに子育てをしています。今の世の中、経済的に苦しくてもなんとかなりますからね。私は子供に食べさせていくぐらい稼ぐ自信はある。漫画だけにこだわらずに他のことでお金を稼いでもいいと思っています。もちろん、会計士とか絶対にできないことはありますよ(笑)。でも、できることを探す自信はある。いきなり売れていたら、こんなふうに思えていたかどうかは分からないですね。

−−子供がいてよかったと実感するときは。
倉田 例えば、仕事で、きついなと思うことがあったときに、一番大事な存在が自分だとつらいですよ。この世で一番大事な自分のためになぜ苦しい思いをしなければならないのだろうと思うから。でも、子供が一番大事だという価値観になった途端、2番目に大事な自分がつらくてもいいと思える。我慢できます。モチベーションにおいて差がありますね。

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【プロフィル】倉田真由美
くらた・まゆみ 昭和46年7月福岡市生まれ。平成7年に一橋大学卒業後、「ヤングマガジン」でギャグ大賞を受賞し、漫画家の道に進む。平成12年から、週刊誌「SPA!」(扶桑社)で、漫画「だめんず・うぉ〜か〜」を連載している。著書は「くらたまのお蔵だし」(同)、共著に「ダメだ!この会社」(小学館)など多数。新聞やテレビ、雑誌のコメンテーターとしても活躍中。