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映画「吉祥天女」
鈴木杏、妖艶なヒロイン役に苦難
  6月24日(土)  大阪夕刊 by 文・広瀬一雄/写真・安元雄太
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天女の末裔(まつえい)といわれる家系に生まれ、人をひきこむ妖艶さを持ち、自分や先祖に悲劇をもたらした男たちを破滅に導くヒロイン、叶小夜子を演じた。心の中まで、何もかも見透かすような大きな瞳。スクリーンでは恐ろしさを感じたが、インタビューではうってかわって、とびきりの明るいイメージを伝えてくれる。

鈴木杏小学館漫画賞を受賞した吉田秋生の原作を及川中監督が映画化。「難しい役でした。自分の中に妖艶さがあるかっていったら、みじんもない。妖艶さっていうのは、毛穴から出てくるようなものだと思うんですよ。それを演技として演じたら不自然にならないか、すごく怖かった。自分自身が演じていて違和感をもってしまったら、全部がだめになってしまうから…」

子役時代から芸歴は長いが、「完全に感情を抑えた」小夜子のような役柄は初めて。「台本読んで分からなくて、原作読んだらもっと分からなくなって。結局、何もできなかったですね。想像つかなくって…」

はきはきと話すが、実は悩んだ部分も多かったのだろう、撮影の合間、共演した市川実日子(麻井鷹子役)と「2人で子供のようにはしゃいだ」という。「はしゃぐことが心の解放になって、救われました。小夜子は心を解放しないので…」とも。心から小夜子になりきったことを示すひと言だ。

《昭和45年春の金沢。春日高校に、不思議な魅力を持つ転校生、叶小夜子(鈴木)がやってきて、能楽クラブに所属する麻井由似子(本仮屋ユイカ)は憧れを抱く。一方で、遠野涼(勝地涼)はただならぬ気配を感じとる。小夜子は、周辺の土地のほとんどを所有する叶家の一人娘で、12年ぶりに実家に戻ってきており、涼の義理の兄、暁(深水元基)と政略結婚させられることになっていた…》

驚かされるのは、由似子らといるときにからんできた男子生徒たちを“叩きのめす”アクションシーン。重要な場面としてワンカットで回された。迫力あふれるシーンから、普通の少女でない小夜子像が印象づけられるが、抜群のアクションセンスに、スタッフから拍手が起こるほどだったという。

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プロフィル
すずき・あん 昭和62年生まれ。東京都出身。9歳のときにテレビドラマで子役としてデビュー。平成12年には「ヒマラヤ杉に降る雪」でハリウッド映画に出演、14年のアクション大作「Returner リターナー」で、日本アカデミー賞の新人俳優賞と話題賞をダブル受賞し、早くから女優として注目を集める。舞台でも15年に「奇跡の人」や、蜷川幸雄演出の「ハムレット」でオフィーリアを務めるなど幅広く才能を発揮し続ける。映画出演は2年ぶりとなるが、今年だけで「吉祥天女」、「監督・ばんざい!」(公開中)、「椿三十郎」(12月公開予定)の3本に出演する。




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