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「釣りバカ日誌」20作品目 俳優、三國連太郎に聞く
「濁り洗い落とすよう」自分見直し
9月8日(土)   大阪夕刊 by 福本剛
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今村昌平をはじめ、内田吐夢、市川崑、山田洋次ら巨匠との仕事も多い。今や、善も悪も、聖も俗も、あらゆる人物像を表現できる屈指の俳優である。

三國連太郎

そんな彼を開眼させたのは、30歳代で出会った独立系の監督、家城巳代治、今井正らだったという。「社会的圧力を受けても、彼らの人生観や強固な主張には突き抜ける力があった。僕も、俳優で一生を送ってもマイナスではないと思った。それが出発点だ」

今ではどんな映画に出ても、自分の主張を持つようになった。「役者は、自分を見失ってはいけない。監督とも意見を闘わせ、いい方向に持っていくのが大切。そして、役者は(多くの人生とともに)個人のひずみを直していく。今回も、そんな映画になった」

記者からひと言
日本人離れした容姿だけでなく、演技もエキセントリック。初めてスクリーンで見たときから、けた違いのスケールに驚いたが、実際会った三國連太郎は、一見静かな紳士だった。

だが、いったんツボにはまると、すさまじいエネルギーで話し始めた。それが、俳優・三國を生んだきっかけの話だと後で気付くのだが、なんと20分以上も話し続け、取材時間30分のほとんどを費やしてしまった。

阪東妻三郎、田中絹代、三船敏郎ら登場人物も豪華な熱弁は、だれの口も挟ませぬ圧力で、その場を支配した。俳優・三國の迫力を間近に感じた瞬間だった。

「しゃべりすぎかな」と愛きょうたっぷりに笑う姿も、彼らしい。映画会社所属という枠からはみ出し、別会社の映画に進出して大騒動になるなど、俳優人生そのものが型破りのスケール。三國の原点ともいえる話であり、冷や冷やしながらも、貴重なひとときを過ごせてよかった…。

プロフィル 三國連太郎 みくに・れんたろう 大正12年生まれ、84歳。昭和26年、木下恵介監督「善魔」でデビュー。家城巳代治監督「異母兄弟」(32年)▽内田吐夢監督「飢餓海峡」(40年)▽今村昌平監督「復讐するは我にあり」(54年)▽勅使河原宏監督「利休」(平成元年)▽山田洋次監督「息子」(3年)−−などで巨匠らと組み、抜群の存在感を見せてきた、日本を代表する俳優。平成2、4年の日本アカデミー賞最優秀主演男優賞など受賞多数。「釣りバカ」シリーズでは鈴木建設社長、会長のスーさんを一貫して演じ、大阪・梅田ピカデリーなどで公開中の「18」は特別版を含め20年目、20作目の記念作品だ。

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