「静かな緊張感見てほしい」
映画「サッドヴァケイション」主演の浅野忠信に聞く
大阪夕刊 by 広瀬一雄
「Helpless」で死んだ安男の妹、ユリ(辻香緒里)の面倒を見ながら、中国人の少年も引き取って暮らす健次からは、穏やかなやさしさが見られるが、千代子には復讐のキバをむく。「立ち止まっている部分がある健次。やさしさを持ちながら、一方で恐ろしい面も無意識に出てしまう。健次を通じて流れる、静かな緊張感を見てほしい」(浅野)。
健次や、「ユリイカ」の梢(宮崎あおい)ら両作品のキャストが登場し、北九州を舞台にした作品の帰着点ともいえる「サッド ヴァケイション」だが、青山は「ぼくの作った映画すべての集大成。人生の節目の作品にしたつもり」と話す。
自らの作品はいつも同じテーマだという。「流れ者という言葉で表される、一人で生きようとする人たち。一方でそれを難しくする、親や家族だったり、友人だったり。その両者のからみあいを描きたい」。今作では「演じるところに徹しているところがすごい」と、10年あまりの間に日本を代表する俳優になった浅野を高く評価する。
「文芸映画」「芸術映画」と評されることもある青山の作品だが、青山自身は「娯楽映画が好きで映画をやっている。この映画でもつかんだものがあり、今後ももっとエンターテインメントに寄ったやり方を狙いたい」と意欲を見せる。
15日からシネ・リーブル梅田ほかで公開。
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