映画「パーフェクト・ストレンジャー」
ネット人格に騙され…ハル・ベリー×B・ウィリス
東京朝刊 by 岡田敏一
ロウィーナは新聞社の同僚でハッカーのマイルズ(ジョヴァンニ・リビシ)の協力を得て、ハリソンの会社のサーバーやハリソンのパソコンに不正侵入。ロウィーナ自身もハリソンの広告代理店に派遣社員として潜り込み、ハリソンに近づくが…。
主要な登場人物がネットを介して複数の人格を有している。殺されたグレースは出会い系では「ファスト・フィリー」。ハリソンは「アデックス」と名乗る。ロウィーナは潜入した広告代理店では「キャサリン」、ネット上では「ヴェロニカ」。ハッカーのマイルズに至っては誰にでもなりすますことができる。
そのため、登場人物が多くないのに従来のスリラーより物語の展開に奥行きがある。表と裏の2つの顔を現実世界とネット上の仮想世界に二分したため、伏線の張り方も巧妙かつ多角的。“どんな人間にも裏の顔がある”というスリラーの不文律が現代的な切り口で感じられる。
前半は惑わされるが中盤以降、物語は急展開。「ラスト7分11秒、衝撃の真実にあなたは絶対騙(だま)される」というキャッチコピーは誇大広告ではないが、結末はやや強引かも。しかし明快なハッピーエンドでモヤモヤも吹き飛び溜飲(りゅういん)が下がる。オスカー女優ベリーとウィリスという2大スターの演技が意外と淡泊なのが残念だ。
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