||ジーグ色のスーツ
永井とともに数々の作品を作ってきた制作プロダクション「ダイナミックプロ」は、東京・西早稲田の表通りから1本脇にそれた場所にある。
発足した1969(昭和44)年のころの面影を残したグレーのたたずまいの建物は、製作所という言葉を思い出させる。一歩中に入ると地味な建物の中のあちらこちらに漫画の主人公たちの玩具や、ポスターが飾られている。「デビルマン」「ゲッターロボ」「キューティーハニー」…。
「ジーグに合わせました」と明るい緑色のジャケットを着た永井が、そんな玩具やフィギュアたちに囲まれた部屋に現れた。
その部屋に至る廊下に張られたポスターを眺めて「ドロロンえん魔くん」や「ハレンチ学園」が、アニメや漫画などでリメークされているのを知ったが、プロダクションでの制作方式をとっているせいか永井作品は、絶えず生まれ変わり、新しい時代に生き続けている。今回のジーグもまたしかり、というわけだ。
||もっともユニーク
もとの「鋼鉄ジーグ」は1975(昭和50)年にテレビアニメと雑誌漫画とで発表された。主人公の司馬宙は実はサイボーグで、磁石を利用して合体するロボット「ジーグ」の頭部に変身し、邪悪な邪魔大王国が繰り出すハニワ幻人たちと戦った。
同時期の同じ日曜日にやはり永井アニメ「UFOロボ グレンダイザー」が放送され、「午後6時からのジーグに対し7時から放送のグレンダイザーのほうが視聴率はよかったのですが、アニメ同様磁石で合体する仕組みのジーグの玩具は200万体も売れて、そちらのほうでブームになったんですよ」と永井は振り返る。
「磁石での合体というユニークな設定と、それを再現した玩具とが一体となり、印象度なら(自分のロボット作品の中でも)『マジンガーZ』に劣らないのでは」
そのユニークさこそは、今回ジーグを復活させたことの理由のひとつになている。
「ジーグは僕のロボットものの中でもそうですが、最近のロボットアニメともタイプが異なっています。思い切り違う作品を今に復活させることが1970年代のロボットブームを再現させるにはベスト」
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「WOWOWでやるので、CMが途中で入ってしらけることがなくていいかな」
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ジーグはビッグシューターという乗り物からそれぞれに打ち出される手足が磁石で合体する。その設定を生みの親自信が「荒唐無稽(むけい)」と表現する。
「『マジンガーZ』をまねしたロボットものはたくさん出てきましたが、ジーグの荒唐無稽さは、さすがにだれもまねしていない」