||ロボットは兵器ではない
「マジンガー」以後に出てきた他人の作品について永井が語るとき、批判的とまではいかずとも違和感を抱いていると感じさせる。その理由をこう話す。

「僕のロボットは『機動戦士ガンダム』以降の“兵器としてのロボット”とは異なりますから。僕はロボットを兵器として見たくない」
永井のロボットは、人間が操縦する兵器ではなく、たとえばジーグなら主人公が変身して顔になるように人間とロボットは常に一体になる。
「人間が頭脳で体がロボットだという、一体化した意識のものなんです。人格の延長として見ているというかね。ジーグなんかはいわゆ“変身もの”のイメージで作りました。子供は早く大人になりたいもの。そういう気持ちを、人間がロボットに乗り込むという形ですくい上げようというつもりでしたね」
ロボットと敵との戦いについても肉弾戦を中心にしたいという。
「ガンダム以降は銃を撃ち合ったりするようになった。僕は、そういうものではなく“ロボットプロレス”的なものができればいいなと思っています」
こんどのジーグではさらに「昔のセル画アニメっぽい雰囲気をわざと出しています。アニメ技術は発達した結果、いささかきれいになりすぎて、インパクトに欠ける。昔のアニメファンも納得できるような迫力を出したい」と説明する。
||舞台は前作から50年後
さて、その新しいジーグ。タイトルは「鋼鉄神ジーグ」。舞台は最初のジーグから50年後。ちなみにアニメからの続編ではなく雑誌連載漫画からの続き。
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「『ハレンチ学園』の実写版? そんなものを作るなら、登場人物たちの年齢設定を昔よりおとなにしないと絶対にだめでしょう」 |
「アニメと漫画とでは終わり方が違いました。アニメは大勢の人が関与し、シナリオライターが加わり、漫画とは違ったものになります」と永井は説明する。
その漫画は「邪魔大王国」の女王ヒミカとハニワ幻人たちは結界を作った九州に封印されたところで終わっていた。人の住めなくなった九州で50年後、ヒミカたちが再び人間の世界へと出てくる。
「前作のヒロイン(卯月美和)の孫(珠城つばき)が今回のヒロインとして登場するなど、つながりは残しつつ、主人公は新しい人物にしています。前回の司馬宙はサイボーグでジーグの顔になりましたが、こんどの主人公である草薙剣児はオートバイに乗っていて、これに乗ったままジーグの顔になる。主人公が人間のままのほうが、視聴者が感情移入できるかなと思いまして」
実は前回の「鋼鉄ジーグ」では、「漫画の連載を抱えすぎていたから」キャラクター設定に関わることしかできなかった。今回も「自分でやるといっていたけれど、同じことになっちゃった」と苦笑いするが、その分関与したキャラクター設定については、こだわりをもった。
「主人公の草薙剣児は、単細胞だけど正義感が強くてガッツがある、明るい性格にしました。(自分の作品らしくて)昔のファンにも喜んでもらえるのではないかな。(悪役の)姫魅禍(ひみか)は、昔より色っぽく。ジーグが戦う相手は怪物っぽさを強めています。最近のロボットアニメには化け物っぽい敵が出てこないけれど、どうせなら怪物っぽいやつを思い切りやっつけることで、視聴者のストレス解消になれば」