国内の売買は違法/有効な対策は「無視」
海外宝くじ勧誘 高齢者を狙い撃ち
2007/10/30 産経新聞
東京朝刊 by 田辺裕晶
多額の賞金を約束するダイレクトメール(DM)を送りつけ、国外の業者に購入費を送金させようとする「海外宝くじ」の被害が後を絶たない。昔からある手口だが、高齢者が狙い撃ちにされ、手口も巧妙化しているという。今年度に入り全国の消費生活センターに寄せられた被害額の平均は昨年度までの倍近い約130万円に。国民生活センターでは「海外宝くじの売買は違法なので、絶対に買わないで」と呼びかけている。
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被害にあった男性宅へ送りつけられた海外宝くじのDM。半年で段ボール3箱分(写真の3倍)がきたという |
「最終通告 当社のコンピューターが何千人もの当選見込み者からあなたを選び出しました。411億円の賞金が、オーストラリアロト抽選で支払いを保証されています。登録承諾書を今すぐにご返送ください」
甲信越地方に住む70歳代の無職男性宅にこんなDMが届きだしたのは、昨年末ごろからだ。興味を引かれた男性は、クレジットカード決済で購入を始めた。同様のDMが毎月数十通も届くため、最初は月3000円程度だった購入額は3カ月後には月14万円に跳ね上がった。待っていても業者から入金はない。だが代わりに送られてきた真珠のネックレスや高級ブランドのブレスレットに期待は膨らみ、異変に気付いた家族が止めても「もうすぐ1億円当たるんだ!」と聞き入れない。
半年後、息子の強い説得で購入を中止したときには、支払額は既に180万円に。アクセサリーは偽物だった。
国民生活センターによると、平成14年度から今年7月までの間、全国の消費生活センターに寄せられた海外宝くじについての相談件数は3万8304件に上る。そのうち支払ってしまったことが確認できたのは1534件。被害額は16年度以降、平均70万円前後を推移してきたが、今年度は一気に約130万円まで上昇した。相談者は70歳以上の高齢者が47%に上り、ここ5年間で3倍になった。
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