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若い世代には新鮮?
復権! 懐かしの瓶牛乳
  東京朝刊 by 田辺裕晶
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終戦直後の昭和25年ごろから、JR秋葉原駅と御徒町駅でミルクスタンドを経営している「大澤牛乳」。牛乳が貴重な栄養源だった欠食の時代から、アンパンと瓶牛乳の朝食が日常的だった高度成長期、そして現在まで、サラリーマンの朝を見守ってきた。

社長の大澤一彦さんは「スタンドの前に3重、4重も客が並んだ時期もあります」と話す。しかし、ファストフード店や駅ビルなど飲食場所の多様化、そして若者の牛乳離れで売り上げは減少。ピークの平成7年ごろに比べて、約半分まで落ち込んだ。

だが、そんな逆風の中、昨年から瓶牛乳を中心とした“白もの”の売り上げが伸びているという。火付け役は「アキバ系」とも呼ばれる若者たち。ネットで紹介された、通常より20?30円高い濃厚なプレミアム瓶牛乳の売れ行きが、前年の1・7倍にも伸びているという。

「若者には瓶牛乳が新しく感じるのでしょうか。中高年を対象に商売をしてきたので、少し戸惑いもあります。でもこの流れが続いて、世の中が牛乳を再び飲み始めてくれたら」。大澤さんは期待する。

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「給食、宅配、銭湯。日本人の生活に密着してきた瓶牛乳は、一つの文化なんです」。牛乳文化の保護と発展のため、セミナーや牧場見学などを開催している「日本牛乳キャップ収集協会」会長、渋谷巧さんは語る。

渋谷さんによると、瓶牛乳は「瓶の冷たい口当たりがよい」「紙パックのようににおいが移らない」などの良さが見直され、ファンが再び増え始めているという。

とはいえ牛乳生産量は年々減少している。「日本酪農乳業協会」によると、嗜好(しこう)の変化や食中毒問題など牛乳を取り巻く環境は厳しく、18年の生産量は約4115万キロリットルと、6年のピーク時に比べ8割まで落ち込んだ。

宅配の売り上げは横ばい状態だ。森永乳業(東京)市乳事業部販売マーケティング部の浮田和宏さんは「健康に良い機能性飲料の人気や、高齢で量販店まで買い物に行くのが辛くなった顧客から配達サービスの需要が高まるなどプラス要因もありますが、その分、契約の打ち切りもあります」と話す。

日本酪農乳業協会では来年度から3カ年計画で、30?50代の主婦をターゲットに牛乳の良さを再認識してもらうための情報発信を行う。同協会は「『飲みたいけれど、家にない』というお父さんの声をよく聞きます。潜在的な牛乳好きは多いはず。家計を握る主婦層に、家庭で牛乳を飲む習慣をもう一度身に付けてもらえたら」と話している。

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