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やや甘口、シャンパン気分
発泡日本酒 ハジける人気
  東京朝刊 by 田辺裕晶
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人気の先駆けとなったのは、「一ノ蔵」(宮城)の「発泡清酒すず音」。「入荷してもすぐに売り切れてしまう」(信濃屋)という好評ぶりで、発売翌年の11年度には年間約20万本だった出荷本数が、昨年度には約78万本まで増えている。

一ノ蔵マーケティング室の阿部順子さんによると、近年のワイン、焼酎ブームに押されて日本酒の需要が伸び悩んでいることに危機意識を覚えた同社は、「日本酒に興味がない人、特に女性が飲んでくれる酒を」と低アルコール酒の開発に着手。約5年間の試行錯誤の末、シャンパンの製造技術を応用した非活性の薄にごり酒を作り上げた。

アルコール度数が低いため光や温度の影響を受けやすいことから、要冷蔵で賞味期限約2週間と品質管理には気を使う。「十分な管理ができない店には出荷をお断りすることもあります」という。

一方、「微発泡酒ぷちぷち」を作っている末廣酒造(福島)の新城猪之吉社長は「『とりあえずビール』と言われがちな乾杯の酒を、日本酒に変えたかった」と語る。

「発泡性日本酒は、飲みやすい酸味と甘みが食前酒に最適。お酒に強くない女性にもすすめやすい。1杯目を日本酒にしてもらえれば、2杯目以降も日本酒を飲み続けてもらいやすくなる」と分析する。

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日本酒造組合中央会によると、日本酒の出荷量は食の洋風化や健康志向などの影響で年々減少を続けているという。平成17年度は73万キロリットルで、元年度と比べ5割近くまで落ち込んだ。この苦境を乗り越えるために、これまで日本酒を飲まなかった層にもファンを広げようとする動きが各地で活発化している。発泡性日本酒を作る醸造所も今や全国に数十軒あるという。

「イベントに持ち込むと、知らなかった人はとても驚かれますね。今まで飲まなかった人が、日本酒を好きになるきっかけになれば」と同協会広報部。

ただ、出荷量はまだ少なく、全国津々浦々にまで行き渡っているわけではない。信濃屋の柳生さんは「味の良い発泡性日本酒が増えれば、今後も品ぞろえに加えていきたい。これからさらに伸びる分野でしょうね」と話している。

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