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「この素晴らしき世界」
川柳川柳とルイ・アームストロング
この素晴らしき世界 寄席も大入りの、とてもおめでたい初席でした。ネズミのひとくち噺をやったら、これがバカ受け。

嫁にいったネズミの娘さんが帰ってきちゃった。母親が心配して「どうしたの? あっちのお母さんに意地悪されたの?」「違うの。優しかったの。猫なで声だった」。

寄席最後の変人奇人といわれている川柳川柳(かわやなぎ・せんりゅう)さんは、正月は酔って高座にあがる毎日。厳格な円生師匠の弟子で、酒癖で破門されたこと数知れず。高座では差別発言ばかりで、お客は腹を立てて帰っちゃう。でも、なぜか憎めないのが川柳ちゃん。私とは若いころから仲がよかった。

ディキシーランドジャズが好きな川柳さんには得意ネタに「ジャズ息子」という噺がある。ジャズ好きな息子と義太夫好きな父親の掛け合いの新作。彼の特技であるラッパなどの楽器の口まね、これを落語に取り入れるのが見事。サッチモことルイ・アームストロングが好きで、私にくれたアルバム「この素晴らしき世界」は大事にもっている。

ルイこそ長い間、日本でもっとも愛されているジャズメンであろう。独特のしわがれ声でうたう美しいメロディーはテレビCMで流れ、茶の間で親しまれた。もちろんトランペット奏者としてすぐれたプレイヤーであり、歌手としてはジャズのいわゆる“スキャット唱法”を開拓して人でもある。

川柳さんのジョークに「ディキシーランドジャズは夜聴くに限るね。だって、ディキシー(歴史)は、夜つくられる」だって。川柳さん、あまり飲み過ぎないように。

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profile
しゅんぷうてい・えいし
落語家

東京都豊島区出身。
昭和32年3月 京華高等学校卒業
昭和32年10月 8代目春風亭柳枝に入門
昭和34年12月 同師匠没後8代目林家正蔵に移門「林家枝二」
昭和35年8月 二つ目昇進
昭和48年3月 真打ち昇進
昭和57年1月 師匠彦六(正蔵改め)死去
昭和58年7月 7代目春風亭栄枝を襲名