ドコモvs.au
「長年使っているのに、新規加入者と同じサービスでは…」という長期利用者の不満を背景に、ドコモとauは、ポイントによる優遇策を導入、がっぷり四つに組んだ。
ドコモは、利用料金に対してつくポイントの倍率を、今年4月から年数に応じてアップさせる。現状では利用料金が多くないと、付与率は上がらないが、新制度では利用料金による段階のほか、10年以上の利用者なら100円で5ポイント、8年以上で4ポイント、5年以上で3ポイントがそれぞれ付与される。
「優遇方法を社内でさまざまに議論した」と話すドコモの坂口昌平営業部長によると、ポイントでの優遇を選んだのは、「10年などの長期利用者の中心は30〜40代のビジネスマンで、そういう方なら機種変更などを要望することが多いだろう」と判断したためだ。
これに対しauは、年に1回もらえる「アニバーサリーポイント」を契約年数に応じて強化。1〜4年目は200ポイント、5〜7年目は500ポイント、8〜9年目は800ポイント、10年を超えると、毎年1000ポイントがもらえる。
KDDIコンシューマ営業企画部サービスグループの伊藤彰敏担当部長も、基本料金半額の導入で、「全体的に安くしたため、長期利用者のメリット感が薄くなった部分があった」と認める。
ポイント優遇の検討には3カ月を要した。
「還元とはいえ、トータルで考えなくてはならない。年数がたてば、長期利用者がボリュームゾーンとなる。そのバランスを考慮した。こうした施策は、途中で変更したり縮小したりするわけにはいかないので…」
導入した新料金プランのフルサポートコースの契約は2年しばりだが、契約解除料にポイントを充当できる仕組みになっている。「長期利用者なら、アニバーサリーポイントがたまって、機種変更などを後押しできる」と伊藤部長。
ドコモとはがっぷり四つに組んで、ポイント対決の様相。「他社がどうこうではなく、いかに自社のユーザーの満足度を上げられるか」という伊藤部長の言葉は、そのままドコモ側にも当てはまる。両社の囲い込み対策は連綿と続く。
ソフトバンク
全面対決の様相が濃いドコモとauに対し、独自路線を行くのがソフトバンク。「ポイントより分かりやすく、魅力的な料金プラン『ホワイトプラン』がそれ」と自負するのは、中西信夫営業戦略統括部長だ。
昨年下半期は純増トップをキープしたが、シェアはまだ17%程度。新規獲得と並行させながら、既存ユーザーを満足させる施策が必要で、それを実現しているのが契約が1000万件を超えたホワイトプランだ。
「月額980円が目立つが、最大の特徴は、夜9時〜午前1時を除くソフトバンク同士、家族同士なら24時間、通話・メールが無料ということ」
この利用環境の実現には、ソフトバンクユーザーが周りに多いことが条件で、「友達や家族と一緒に加入してもらうことは、既存ユーザーにも大きなメリット」になるというわけだ。
新加入者を紹介すると、5000円をキャッシュバックされるキャンペーンも打ってきたが、既存利用者の優遇だけでなく「利用者が享受できるメリットがどんどん広がることにもつながる」(中西部長)とさらなる訴求を図る。