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宙組東京公演千秋楽 トップコンビが退団
貴城けい、笑顔で「感謝」 さわやかにサヨナラ
   ENAK編集部
宝塚歌劇団宙組のトップスター、貴城けいと娘役トップの紫城るいが12日、最初で最後の東京宝塚劇場公演「維新回天・竜馬伝!」「ザ・クラシック」の千秋楽を終え、駆けつけた約8000人のファンに見送られて退団した。

さよなら、かしちゃん

貴城は入団15年、紫城は同10年。ともに今年8月の福岡・博多座公演「コパカバーナ」でトップデビューしたばかり。本公演を1回だけで退団するトップは平成14年の絵麻緒ゆう(雪組)以来。

この日は公演が終わった後、午後5時前から「貴城けいサヨナラショー」が「コパカバーナ」で始まった。ブルーの衣装の貴城が、男役を従えて踊る。「アラビアン・ハーレム」では白いアラビア風のターバン姿に着替え、紫城と娘役たちとのショーを再現。「She Bangs」では赤の衣装で大勢のダンサーと踊り、そのまま「愛の試練」「リフレイン」「歴史のはざま」など思い出の歌をメロディーで歌い継ぐ。

貴城は黒エンビ、紫城は白のドレスで「時を越えて」をデュエットダンスで踊ったあと、ラストは貴城が必ずディナーショーで歌う「奇跡」で締めくくった。客席でペンライトが振られる中、舞台下手からゆっくりと銀橋を歩く姿は、光の海を渡っているかのようだった。舞台中央に戻って、客席に背中を見せて大階段を上り、振り向いた貴城は笑顔を浮かべていた。

続くあいさつでは、貴城、紫城ともに黒紋付きに緑の袴(はかま)の正装で大階段を降りた。

まず紫城が階段を降りてきた。

「とうとう本当に旅立つ日がやってきました。卒業を意識してからは、すべての時間がいとおしかったです。がむしゃらだった5年間の男役時代。女性としてたくさんのことを教えていただいた娘役の5年間。そのすべてが私を育ててくれました。一生分の幸せをいただいたくらい幸せで、時が止まってほしいと何度も思いました。この感謝の気持ちはいつまでも私の心に残り、どんなときも支えてくれると信じています。先生方、組のみんな。最後にめぐりあって愛で包んでくださった貴城さん。そして、こんな私をどんなときも見守り支えてくれたファンのみなさまの愛。たくさんの愛に包まれて卒業できることを幸せに思っています。心からの愛を込めてありがとうございました」と、万感の思いを言葉にした。

さよなら、るいるい

続いて貴城。組長の美郷真也に「かしげ」と愛称で呼ばれると「ハイッ」と元気に答えて大階段を降りてきた。

「宝塚で出会えたすべてが私を育ててくれました。15年の宝塚生活の中で雪組が私を温かく送り出してくれ、宙組は温かく迎えてくれました。そしてファンのみなさまはそんな私を温かく見守ってくださいました。だれひとり欠けても『貴城けい』は、なかった。ファンのみなさまのため、宙組のため、自分のため。今できることは何か−−を考えながら過ごしてきました。(紫城)るいちゃんという最高の相手役とめぐりあい、宙組のみんながもり立ててくれました。今この宙組で卒業できることが心から幸せで、一生の誇りです。今まで温かく応援してくださったファンのみなさまをはじめすべての方々の愛を胸に、これからも私らしく歩んでまいります。心から、心からの感謝を込めてありがとうございました」と語ると、白い歯を見せてニッコリと笑った。

最後に大劇場同様全員で「蛍の光」を合唱した。「大劇場の千秋楽が年末(12月12日)だったから」という理由で、選んだ曲だという。宝塚の歌で締めくくらないのは珍しいが、歌劇団によると昭和30年代には何度かこの歌をうたった例もあった、という。

午後6時半過ぎから劇場内で貴城の記者会見が行われた。緑の袴姿のままの貴城は、やはり笑みをたたえて会見に臨んだ。

雪組から異動して宙組トップに就任したのが昨年7月。15年の宝塚生活ではほんの短い時間だったが、「宙組での思い出は一生忘れられません。大切なのは時間の長さではありません。短い時間の中で幸せに日々を過ごさせていただきましたので感謝しています。短時間で退団することは宙組のみんなに失礼なのではないかと葛藤(かっとう)もありました。みんなにもりたててもらい、愛を感じました。宙組での8カ月は私のこれからの支えになると思います」と総括した。

キリッとした表情で会見に臨んだかしちゃん ショーの歌の歌詞を変えて貴城へのはなむけにする粋なハプニングもあったのも「(在籍の)時間が長いかどうかじゃないと感じて本当にうれしかった」という。実際客席にいた人によると、芝居、ショーとも宙組生から貴城に向けた思いのあふれたアドリブが随所にみられたという。芝居で演じた坂本竜馬そのままに、明るく、さわやかな最後の舞台になったわけだ。

「ひとりじゃ何もできないと感じていたからこそ、こうしていられるのだと3分おきぐらいに感じてきた」が、日付が11日から12日に変わった瞬間「きょうで宝塚の『貴城けい』でいるのは最後だと感じました」と、さすがに寂しさを隠さないが、「本当に幸せな1日でした」とすべてが凝縮された日だったとこの千秋楽を振り返った。

「でも、あしたからはもっと幸せになりたい」と笑顔で結んだ。

なお、退団後については「今は何も考えておりません。これからゆっくり考えたい」と話した。

そして午後8時過ぎ、劇場前をパレード。花が咲いた桜の枝を抱えて登場。ファンをびっくりさせた。ゆっくりと踏みしめるようにして劇場前を歩くと大きく手を振って迎えの車に乗り込んだ。

この日はほかに白峰さゆり(2003年入団)、咲花杏(01年同)、純あいら(1999年同)、天翔ゆうり(同)、貴羽右京(95年入団)が退団した。

宙組の後任トップスターは大和悠河。大和の相手役は陽月華が内定している。

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