宝塚歌劇団は10日、月組「シニョール ドン・ファン」東京公演(6月27日-8月3日)の制作発表を都内のホテルで行った。
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記者会見した紫吹淳、コシノヒロコ、映美くらら(左から)=東京都港区のホテル |
「シニョール ドン・ファン」は、イタリア・ミラノのプレーボーイのファッションデザイナーを主人公にした現代もので、日本を代表するデザイナーのひとり、コシノヒロコが新たにデザインを手がけ、あるいはコレクションで使用したものを提供するなど約100点の衣装を担当した話題作。この日の会見には月組トップスター、紫吹淳、娘役トップ、映美くららとともにコシノも出席した。
すでに本拠地・宝塚大劇場での公演(4月4日-5月19日)は終え、その前に大阪市内で制作発表を行っているにもかかわらずの発表会見は、歌劇団とコシノのこの作品に対する意気込みを感じさせる。
大阪での会見でコシノが明らかにしたように、彼女が月組公演の衣装デザインを手がけたきっかけは、昨年10月、大阪のサンケイホールで開かれた「OSAKA FASHION ENERGY 2002−日本の美を愛でる−」(産経新聞主催)で、紫吹、映美ら月組生徒7人をモデルに起用したこと。
「紫吹さんが『次の演目はファッションデザイナーの物語だから、先生が衣装デザインをやって』とおっしやったので、私も『あ、やろうじゃない』と思った」
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「主人公は私をイメージしているんですって。私は、女たらしの女性デザイナーってこと」とおどけてみせたコシノ。非常にうち解けた雰囲気で、宝塚とコシノブランドとの融合は、大成功であることをうかがわせる=東京都港区のホテル |
コシノはふだんの歌劇団ではしないようなデザインを心がけた。たとえば、「男役の衣装はたいてい肩幅がありますが、私は肩幅は狭くしかわりに丈の長いジャケットをデザインした」(コシノ)。その結果、「作品の世界を広げてくれた」(作演出の植田景子)「予想外のアクセサリーの使い方などで、役が膨らんだ」(紫吹)というほど舞台に大きな影響を及ぼした。
コシノのほうも「生徒たちは普段着を見てもいまのファッションについて深く理解していることが分かる。そんな生徒たちに着てもらうのは、ファッションモデルが着るのをみるよりずっとおもしろい」と語るなど、満足しきりといった表情だった。
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きょう着ているのは舞台衣装ではありません…。「舞台が終わったら衣装をいただこうと思っているんです」。紫吹はENAKにこっそりと明かした…=東京都港区のホテル |
「東京公演ではアクセサリーなどについても、もっとアドバイスをいただいて、さらに勉強したい」と映美。宝塚とコシノブランドのコラボレーションはより強力なものになって東京にやってくる。
同時上演は日本物のショー「宝塚舞踊詩『花の宝塚風土記』」(作・演出、酒井澄夫)。なお、今年の月組東京公演は今回の作品のみの予定。
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