検非違使を解雇された知親は、傷によって狂わされた人生をさまよい続けていた。朱天童子への復讐の念は、彼の人生から幸せを奪った。朱天童子を追い求めてさまよううちに子供が病死した。そんな日々に疲弊した知親の妻、忍(愛耀子)が過労で倒れたところを介抱したのが皮肉にも保輔だった。そのとき、背後から忍び寄る知親。保輔はその気配を察知し、「今なら斬れるぞ。私は死に場所を探してい」と声をかける。ふりかぶる知親だが、どうしても斬ることができない。「斬れぬ。わしが探している朱天童子は、こんな弱気な男ではないわ。どうやら、人違いのようだな」。駆け寄る仲間たちに、保輔はいい放つ。「あなたたちともお別れだ。あななたちは生き伸びて、朱天童子という小さな捨て石をしっかりと後世に伝えてほしい」。保輔は、鬼童丸だけを伴って大江山に入る。