しかし、宴に現れた保輔が「偽物」だと見抜いた人物が、ひとりだけいた。保輔に思いを寄せる若狭。「恋する者の目はあざむけません」。しらをきる保昌に対し、若狭は笛を吹き、歌を歌う。そして続きを歌ってみろと促す。「これは、保輔さまが作った歌。保輔さまだと言い張るのなら歌えるはず」と。このとき若狭は、兄の頼光が朱天童子捕縛を命じられたことを知らない。その朱天童子が恋しい保輔であることも。