そのころ、源頼光(貴城けい)は、家臣たちに詰め寄られていた。「源氏は藤原の私兵ではない。なのに、なぜ本務ではない朱天童子逮捕の命を受け入れたのか」「藤原に遠慮がすぎるのではないか」。この場面、なんだかイラク戦争をめぐって「なぜ、米国に追従するのか」という小泉首相に対する批判的論調と似ていないか。果たして頼光は、こう答える。「理はそうだ。だが、理だけで済むのか」。実は頼光もまた朱天童子の正体は保輔なのではないかとにらんでいた。そして保輔ならば、腹を割って話し合ってみたかったのだ。「新しい世の中を作る」という共通する目的のために。