踊り終わったカルロス(春野寿美礼)とミルバ(ふづき美世)の会話が弾む。ふたりともそれぞれの夢の実現の機会が近づいていて興奮しているのだと打ち明ける。カルロスはダンスのコンテスト。ミルバは絵のコンテスト。同じころにコンテストがある偶然は、さらにふたりの気持ちをたかぶらせる。「優勝したらどうするの?」。カルロスはこたえる。「ペンギンを見にいく。君は?」。ミルバもこたえる。「…ペンギンを見に行くわ…」。おかしなふたり。だが、気持ちの交流は深まる。優勝したらペンギンを見に行こう。空港で待っている。だめだったら? いかない。ペンギンの夢を見ながらふたりは3週間後の約束をして分かれる。
このやりとりでの春野とふづきのせりふがとてもいい。ふたりとも、さりげないしゃべり方をして、なんだか宝塚の舞台とはちょっと異なる色彩をふりまく。特にふづき。そのさりげなさで、カルロスとミルバはうんと等身大の人物となって私たちの目の前に現れる。
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