そのころ、クラブ経営者、ファビエル(霧矢大夢)も生きていることのすばらしさのために勇気をふるっていた。フラスキータに思いを伝えるのだ。「今が最良のときだとは思わないが、知っておいてほしい」。ここも、非常にいい場面。だが、やはり、さりげなく穏やかな時間が流れる。ファビエルは伝える。「君のなにもかもが好きだが、なにより好きなのは寂しがり方だ。君を寂しがらせたりできるただひとりの男になれたらと思うよ」。フラスキータが「自分を見つめ直してからおこたえします」と答えると「ん? 自分本位でいいよ」。どこまでも、穏やかなファビエルなのだ。「何か食べて気分を変えよう」というファビエルにフラスキータはこたえる。「いいえ、変えたくないわ」
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