匠ひびき 退団記者会見

 01/12/18 産経新聞東京朝刊
 Text by HIRAMATU,Sumiko/平松澄子@大阪文化部

「ずっと育ってきた花組でトップをさせていただいたことで、ひとつの夢がかないました。トップとしての公演は1作だけになりますが、退団させていただきます」−−。

宝塚歌劇団花組のトップスター、匠ひびきが18日、記者会見して来年6月で退団することを発表した。

匠は11月に退団した愛華みれの後任としてトップに昇格したばかり。21日から始まる大阪のシアター・ドラマシティ公演「カナリア」(29日まで。東京はル・テアトル銀座で来年1月4−13日)が新生花組としての“デビュー公演”で、正式のトップ披露公演となる宝塚大劇場での「琥珀色の雨にぬれて」「Cocktail〜カクテル」は、来年3月1日−4月8日(東京宝塚劇場公演は5月11日−6月23日)。

正式のトップ披露を前に退団を発表するのはきわめて異例で、正式お披露目公演がそのままサヨナラ公演となるのも前代未聞。

「まだ、何もお見せしていない段階ですが、すてきな役にめぐりあえたことで、(退団を)決めました」

会見で匠はそう説明した。

「15歳で宝塚音楽学校に入り、長年、当たり前のように過ごしてきた宝塚生活と別れる寂しさはありますが、悔いはございません。来年6月までありったけの力で突っ走って、私の理想とする男役像を舞台にぶつけたい」

退団後の結婚や芸能界入りにっいては「まったくございません」と、きっぱり否定している。

匠は兵庫県出身。昭和62年初舞台で花組に所属。早くからダンスで注目され、平成7年には「チャンピオン!」で宝塚バウホール初主演。昨年6月には、新制度により専科入り。骨折のアクシデントにも見舞われたが、今年5月には次期トップとして花組に戻り、7月には舞台への完全復帰も果たした。

宝塚歌劇団は今年、真琴つばさ、稔幸、愛華と同期生のトップが次々と退団。雪組トップの轟悠も来年2月で専科入りすることが決まっている。このように世代交代が著しい近年は、トップ在任期間が1、2年と短くなっている傾向があるとはいえ、匠のような“スピード退団”は異例だ。

植田紳爾理事長は、スピード退団の“スピード発表”についてこう説明する。

「来年後半のラインアップ発表が1月11日に控えている。その前に(匠の退団を)公表するとしたら、スケジュールの都合でいまの時期しかなかった。また、最近ではすぐにインターネットでうわさが飛び交う。本人の気持ちが決まったなら、早く明らかにしたほうがけいこに集中できるのでは。宝塚はサヨナラ公演をきちとした形で送り出す伝統がある。ファンのみなさんにこれまでの成果を十分に見ていただいて、見事な花道を飾ってやりたい」

 後任には同じ花組の春野寿美礼のトップ昇格が確実視されている。





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